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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科48巻12号

1994年11月発行

雑誌目次

連載 走査電顕でみる眼組織……What is This?・17

胎児の虹彩メラノサイト

著者: 杉田新

ページ範囲:P.1805 - P.1805

胎児の虹彩前面の走査電顕写真。虹彩前面には紡錘形あるいは樹枝状の形態を有するメラノサイトが網目を形成しているのがわかる。虹彩メラノサイトは膨隆した楕円形の細胞体部と太くて長い突起部から成っており,いずれも表面には多数のひだ状の小突起がみられる。ニホンザルの胎児。×830

眼の組織・病理アトラス・97

蚕食性角膜潰瘍

著者: 猪俣孟

ページ範囲:P.1806 - P.1807

 蚕食性角膜潰瘍Mooren's ulcer, rodent cor—neal ulcerは,潰瘍が角膜輪部の一部から始まり,徐々に中央部に向かって進行するとともに,やがて角膜のほぼ全周に広がる原因不明の疾患である。潰瘍の先端部は常に角膜実質の中を潜行し,潰瘍の上部にはまだ上皮層が舌状に残っている。潰瘍の進行があたかも蚕が桑の葉を食い進む様子に似ているので、その名がある。潰瘍部に近接する輪部結膜は赤く充血して盛り上がっている(図1)。潰瘍の先端が通過したところでは,角膜は菲薄化し,血管新生を伴って結膜上皮で覆われ,瘢痕化する。菲薄化した角膜は,自然にまたは外傷によって破裂する。
 本症は,厳密には,明らかな全身疾患を伴わず,かつ強膜炎を伴わない周辺部角膜潰瘍で蚕食性に進行するものをいう。したがって,リウマチ性関節炎,結節性多発性動脈炎,ウェジナー肉芽腫症などに合併して起こる周辺部角膜潰瘍がしばしば本症と診断されることがあるが,これらは区別されるべきである。また,逆に角膜周辺部潰瘍の患者に遭遇した場合には,安易に本症と診断しないで,基礎疾患の有無を十分に検討する必要がある。
 病理学的特徴は,角膜潰瘍の先端部付近に多形核白血球,特に好中球の浸潤と輪部結膜のリンパ球およびプラスマ細胞の浸潤である。本症は,何らかの原因で病的な角膜上皮が抗原刺激となって,それに対する抗体が産生され,抗体と補体が結合した免疫複合体が輪部結膜の血管壁に沈着することによって起こるアレルギー反応と考えられる。このことは,角膜上皮に対する血中抗体の存在や補体の上昇が明らかにされ,また輪部角膜の血管壁に好中球の浸潤(図2)がみられることからもその可能性が支持される。免疫複合体の沈着に誘導されて血管壁に集まった好中球は脱顆粒を起こして(図3),胞体内から水解酵素やリゾチームを放出して,周囲の組織,特に病的角膜上皮および上皮下の角膜実質を破壊する。潰瘍に陥った角膜および輪部結膜からコラゲネースあるいはプロテアーゼが産生されて,次々に角膜が融解する。さらに,輪部結膜には,彩しい数のプラスマ細胞が浸潤する(図4)。

今月の話題

自己閉鎖無縫合白内障手術とフェコチョップTM

著者: 永原國宏

ページ範囲:P.1808 - P.1813

 白内障眼内レンズ挿入術において切開創構築理論によって裏付けられた自己閉鎖切開創は手術の第1選択となりつつある。現在はさらに,筆者の開発したフェコチョップテクニックとつながって,より完全な手術手技に発展している。これらについて解説する。

眼科手術のテクニック—私はこうしている・71

自己閉鎖無縫合白内障手術(2)

著者: 深作秀春

ページ範囲:P.1814 - P.1816

 自己閉鎖創構築の上での強膜側のデザインの概念と術後乱視が圧倒的に少ないことを前回述べた。今回は別の視点から自己閉鎖縫合白内手術をとらえてみたい。

臨床報告

有水晶体眼での隅角癒着解離術とレーザー隅角形成術の併用

著者: 溝口尚則 ,   黒田真一郎 ,   寺内博夫 ,   永田誠

ページ範囲:P.1819 - P.1822

 有水晶体眼の隅角癒着解離術(GSL)におけるレーザー隅角形成術(LGP)併用の効果と適応とについて検討した。併用例での有効率は92%であった。少数例で術後再癒着が発生したが,その程度は強くなく範囲も限局していた。LGPによる併発症はなかった。これは,GSLに水晶体摘出術を併用した成績とほぼ同等であり,良好な結果であった。従ってGSLと水晶体摘出術の併用は隅角検査で周辺虹彩前癒着の範囲が広く高い症例や,水晶体赤道部を透して毛様突起がみられるなど,水晶体の強い前方移動や膨隆を示す所見がある症例に,少なくとも最初は限られるべきである。

水晶体嚢真性落屑に緑内障の合併した1例

著者: 斉田典夫 ,   坂下健一 ,   天野良成

ページ範囲:P.1825 - P.1827

 水晶体嚢真性落屑に緑内障の合併した1例を経験した。症例は79歳男性で,水晶体前嚢と連続性を有した薄く透明で均質な膜を両眼の前房中に認めた。緑内障の合併があったが,pseudoexfoliativematerialは認められず隅角も著変なく,他に緑内障の原因となる基礎疾患はなかった。水晶体嚢真性落屑の原因として,職歴から長期にわたる熱照射が考えられたが,緑内障との相互関係は明らかではなかった。

角膜混濁を合併したクルーゾン病の1例

著者: 名和良晃 ,   桜井寿也 ,   原徳子 ,   西信元嗣

ページ範囲:P.1831 - P.1833

 角膜混濁を合併したクルーゾン病の1例を経験した。患児は38週で自然出産した男児で,両眼の先天性中央部角膜混濁を合併していた。片眼に角膜移植を行い,摘出された角膜の病理組織学的検索で,実質表層の瘢痕が認められた。この部分はアルシャンブルーに陽性に染色されたことにより,胎生期のある時期に兎眼によって角膜が羊水中に慢性的にさらされたために生じた病変である可能性が示唆された。

超音波白内障手術中の縮瞳に対するエピネフリン添加灌流液の効果

著者: 大見謝恒人 ,   松村哲 ,   新垣均 ,   宮良長治 ,   早川和久 ,   山川良治 ,   長瀧重智

ページ範囲:P.1837 - P.1840

 眼灌流液に添加したエピネフリンが超音波白内障手術中の縮瞳に及ぼす効果を84眼について検討した。皮質吸引終了までの縮瞳率は,エピネフリン無添加群では19±18%であった。灌流液に0.2, 0.4,0.6mg/lのエピネフリンを添加した群の縮瞳率は5.3±7.2%,2.2±8.8%,2.5±7.1%で,0.4mg/lおよび0.6mg/lと無添加群との間に有意の差を認めた。

糖尿病網膜症の術前光凝固術が硝子体手術成績に及ぼす影響

著者: 五味文 ,   恵美和幸 ,   本倉雅信

ページ範囲:P.1843 - P.1847

 硝子体手術を行った糖尿病網膜症例106眼について,術前の光凝固術の程度が硝子体手術操作や予後に及ぼす影響を,後部硝子体剥離の進行度に着目しながら検討した。術前光凝固術の程度と後部硝子体剥離の程度とは相関しており(p<0.05),汎網膜光凝固術完成群では完全後部硝子体剥離の割合が高く,手術合併症は有意に減少した。術後矯正視力(0.4)以上の視力良好例は汎網膜光凝固術群で63%,部分光凝固術群で37%,光凝固未施行群では33%あり,術後視力は光凝固術の程度と相関していた(p<0.001)。光凝固術後は,視機能保持の観点から,後部硝子体剥離に伴う網膜前出血や網膜牽引などの初期変化が認められれば硝子体手術の適応を考慮すべきである。

脈絡膜悪性黒色腫のインドシアニングリーン螢光眼底造影所見

著者: 近間泰一郎 ,   杉原いつ子 ,   鈴木亮 ,   村上知之 ,   浅山琢也

ページ範囲:P.1863 - P.1866

 脈絡膜悪性黒色腫の1例を経験した。症例は,42歳男性。右眼黄斑部耳側に漿液性網膜剥離を伴った有茎性の充実性腫瘤がみられた。大きさは,15×12×10mmであった。
 フルオレセイン螢光眼底造影(FA)とインドシアニングリーン赤外螢光眼底造影(IA)を施行し,比較検討した。FAで,明らかな異常血管を認めなかった部位に,IAでは脈絡膜異常血管が観察でき,その異常血管からびまん性の色素漏出もみられた。
 IAを用いることにより,眼内の隆起病変に対して,FAでは検出できない脈絡膜異常血管が観察可能となり,腫瘍の発生および悪性度や伸展度の判定に有用ではないかと思われる。

真菌性眼内炎の硝子体手術による治療

著者: 久田佳明 ,   水谷聡 ,   岩城正佳 ,   荻野誠周

ページ範囲:P.1867 - P.1872

 内因性真菌性眼内炎10例16眼に対し硝子体手術を行った。7例に外科手術(喉頭部2例,腹部5例)の既往があり,全例に経中心静脈高カロリー輸液療法が留置されていた。治療の第1選択として,フルコナゾール,ミコナゾールまたはアンホテリシンBの抗真菌剤を使用したが,抗真菌剤に反応が悪いか,高度な硝子体混濁が生じた場合に硝子体手術を行った。術後視力は,2段階以上の改善が16眼中13眼(81%)に得られた。全例に眼内炎の再発を認めていない。硝子体手術は本症に対して有用な治療法であることが確認された。

陳旧性birdshot chorioretinopathy

著者: 新城光宏 ,   矢部敏行

ページ範囲:P.1875 - P.1878

 67歳の女性の片眼眼底に,散在する1/2〜1乳頭径大の黄白色斑あるいは脱色素斑がみられた。本症例にはぶどう膜炎を示唆する所見はみられず,自覚的所見にも乏しい。螢光眼底造影所見では組織染(tissue staining)によるものと考えた斑紋に一致する淡いびまん性の過螢光斑がみられるのみで,類嚢胞黄斑浮腫を伴う網膜血管症もみられなかった。しかし,本症例では典型例に比較すれば大型ではあるものの,本疾患にもっとも顕著な特徴とされる色素沈着のない黄白色斑あるいは脱色素斑が明瞭に現われており,筆者らは本症例を緩解期のbirdshot chorioretinopathyと考えた。
 Birdshot chorioretinopathyとHLA A−29,HLA B−12との関連性が指摘されているが,本症例では検出されなかった。網膜可溶性抗原の検索は行われていないが,本症例では抗核抗体が検出されており,本疾患の病因としての自己免疫性疾患の可能性が示唆された。

眼窩巨大類表皮嚢胞の1例

著者: 三浦道子 ,   大谷地裕明 ,   大塚賢二 ,   五十嵐保男 ,   中川喬 ,   北川正樹

ページ範囲:P.1879 - P.1882

 成人女性にみられた眼窩巨大類表皮嚢胞の1例を報告した。患者は22歳女性で,徐々に進行する右眼の下方偏位のため当科に紹介された。CTとMRI検査で眼窩上部に嚢胞状の腫瘍性病変を認めた。腫瘍へのアプローチ法の検討のため,術前にヘリカルスキャン法による3D-CTを行った。これにより従来のクレンライン法よりも骨切除範囲を拡大することができ,広い術野で腫瘍摘出術を行った。病理組織学的検査にて類表皮嚢胞と診断された。

ベーチェット病患者に対するシクロスポリン長期投与の問題点

著者: 岡本珠美 ,   小竹聡 ,   笹本洋一 ,   古館直樹 ,   吉川浩二 ,   市石昭

ページ範囲:P.1883 - P.1886

 2年以上のシクロスポリン全身投与を行ったベーチェット病患者の問題点につき検討した。対象はベーチェット病患者18例(男性14例,女性4例)で,シクロスポリンの開始量を5mg/kg/dayとした。シクロスポリン平均投与期間は54か月であった。平均眼発作回数はシクロスポリン投与前と比較し,投与後は明らかに減少し,眼発作は長期にわたって抑制されていた。投与後1年間で発作回数が減少した症例は18例中13例であった。しかし,この13例中5例は投与後2年以降には眼発作が増加した。副作用は腎機能障害が18例中13例(72%)と最も多く,腎機能障害に伴うシクロスポリンの減量が眼発作増加の要因と考えられた。

CHARGE associationに伴う脈絡膜欠損に合併した網膜剥離の治療例

著者: 勝田聡 ,   鈴木純一 ,   関根伸子 ,   中川喬 ,   竹田宗泰

ページ範囲:P.1889 - P.1892

 先天性脈絡膜欠損は網膜剥離が高率に発症し,一般の網膜剥離に比べて難治性である。今回筆者らは,先天性脈絡膜欠損に合併した網膜剥離に対して硝子体手術を行った1例を経験した。
 患者は14歳女性。黄斑部に隣接し視神経乳頭を含む脈絡膜欠損を右眼底下方に認め,その中央やや上方に裂孔が存在し,脈絡膜欠損を越えて眼底全範囲にわたる扁平な網膜剥離を認めた。左眼に脈絡膜欠損,小角膜を認めた。また本症例は,脈絡膜欠損の他に全身的な先天的合併症も認められ,CHARGEassociationと診断した。右網膜剥離に対して硝子体切除術を行った。裂孔から網膜下液を排液し,脈絡膜欠損部外周に光凝固を施行し,輪状締結術シリコーンオイル注入を行った。10か月後,シリコーンオイルを除去した。現在,網膜剥離は認められず経過観察中である。

無水晶体眼への遮光眼鏡の効果

著者: 丹羽一司 ,   吉野幸夫 ,   所敬

ページ範囲:P.1893 - P.1897

 無水晶体眼16例22眼を対象として,遮光眼鏡(Retinex Soft®)のグレア光への有効性を検討した。日中・夜間におけるグレアについては,standard yellow,yellow green,dark greenの各フィルターの効果をグレアテスターで測定した。Photostress recovery timeについては,更にNDフィルターを用いて光量を調節した上で測定した。その結果,日中屋外にはyellow greenを,夜間にはstandard yellowを装用するのが適当と思われた。また,photostress recovery testの結果から近紫外光と可視光短波長領域の遮断が“Rreadaptation”timeを短縮させるが,可視光短波長領域を完全に遮光しなくても“readaptation”timeを短縮させることがわかった。

脈絡膜腫瘍における赤外螢光眼底造影法

著者: 原田敬志 ,   神原行浩 ,   野川秀利 ,   澤夕香 ,   馬嶋慶直

ページ範囲:P.1899 - P.1903

 脈絡膜血管腫2例および転移性脈絡膜腫瘍1例に,赤外螢光眼底造影を施行した。前者では,静注早期に色素が脈絡膜血管を染色したが,後者では,終始低螢光のままであった。脈絡膜血管腫の槽構造を知るのに本検査法は有用であるが,転移性脈絡膜腫瘍では,その血管構築により所見が異なる可能性がある。

カラー臨床報告

アカントアメーバ角膜炎の3症例4眼

著者: 若林貴和 ,   高田美貴子 ,   宮田和典 ,   水流忠彦 ,   新家真

ページ範囲:P.1855 - P.1859

 両眼発症例1例を含むアカントアメーバ角膜炎の3症例4眼を報告する。2症例は角膜擦過物,1症例はソフトコンタクトレンズとその保存液の大腸菌無栄養培地からアカントアメーバが分離されたことからアカントアメーバ角膜炎と診断した。片眼発症例で両眼のソフトコンタクトレンズからアカントアメーバが検出された症例が1例あった。アカントアメーバ角膜炎の報告は片眼発症例が多いが,コンタクトレンズ使用者の場合,両眼にコンタクトレンズを使用することが多い。アカントアメーバ角膜炎を片眼に認めた場合は他眼の検索を十分に行い,両眼発症を防ぐことが重要である。

眼科の控室

予後の判定

著者:

ページ範囲:P.1850 - P.1850

 眼科に限りませんが,病気の診断では,「現在なにがあるか」をはっきりさせることが必要なのは当然ですが,それだけで安心してはいけません。
 理想としては,「今までにどのような経過で進展してきたか」といつ病気の過去を判定して欲しいのです。これには「病因」も含まれます。これは患者さんの現病歴が第一の手掛かりになりますが,眼科では,眼底や隅角の所見に今までの経過の記緑が残っている事例が多いのです。

マイアミ留学記・その7

遺伝子治療について

著者: 谷原秀信

ページ範囲:P.1853 - P.1853

 最近の分子生物学の進歩は眼科診療の流れを大きく転換させて,DNA診断が既に一般の臨床の場で利用されつつあります。現時点ではまだ論文として眼科雑誌でさほど発表されてはいませんが,最もホットな研究課題になりつつあるのが遺伝子治療です。今回はこの領域における権威のひとりであるDr.Andersonと共同研究している坂本先生(九州大)に,研究現場の雰囲気や話題を教えてもらおうと思います。以下は坂本先生の文です。
 「私は,1992年の夏から南カリフォルニア大学ドヘニー眼研究所のライアン教授の教室で研究をしております。研究の主なテーマは新生血管黄斑症ですが最近では,遺伝子治療の第一人者であるAnderson教授と共同で眼科領域の遺伝子治療についての研究をしておりますのでそのことについて簡単に説明します。

特別講演

白内障手術の歴史(連載第4回)

著者: 三島済一

ページ範囲:P.1904 - P.1908

消毒法と麻酔法の進歩
 ちょうどGraefeが活躍した時代に,単に眼科手術が進歩したというだけでなく,その周辺技術が生まれてまいります。1847年には,イギリスのSimpsonが,エーテルを使い無痛分娩をやっております。1853年には,クロロホルムを使って,無痛分娩をやっておりますが,この無痛分娩は,当時のイギリスのビクトリア女王の第6子,アルバートの分娩でありました。ちょうどその頃,産褥熱は,消毒によって抑えられるという発見がウィーンでありまして,それを取り上げまして,1865年になりますと,イギリス人のListerが石炭酸を使った消毒方法をほぼ確立します。この石炭酸による消毒法は,先ほど言いましたボードインによって,日本にももたらされておりますし,その後東大の外科の教授をやりましたMueller,それからスクリバーらも,この消毒法を日本に持ってきております。1870年代から1880年にかけては,Koch, Pasteurらが細菌学の方法を確立し,そこへ日本からも北里柴三郎先生はじめ,大勢の人が留学して日本に細菌学をもたらしました。細菌学が確立し化膿の原因がはっきりわかりますと,なかなか厄介なListerによる石炭酸の消毒法から,1886年にはシンメルブッシュの蒸気消毒による滅菌法が確立され,初めて手術が,かなり安全に行われるようになってまいりました。
 白内障手術にもクロロホルムを使って十分に麻酔をしようという試みが随分ありました。1850年,Jungkenが使っていますし,1865年には,Jacobsonが,クロロホルムの使い方について大きな論文を書いています。

追悼

Norton先生

著者: 清水弘一

ページ範囲:P.1909 - P.1909

 マイアミのNorton教授が急逝された。1994年(平成6年)7月24日の早朝のことである。
 とにかく偉い先生だった。1958年(昭和33年)にマイアミ大学の眼科に来られた当時は,事実上「一人医長」の形だったのが,次々に弟子を養成し,さらにバスコム・パーマ眼研究所を創設して発展させ,最近ではその年間予算が1500万ドルだから,15億円という,われわれには気の遠くなるような規模に成長させられた。

Report from Overseas

緑内障に対する線維柱帯嵌置術

著者: 李勝 ,   李宏科 ,   段安明

ページ範囲:P.1910 - P.1911

 1990年4月から1992年6月までに,筆者らは緑内障の各病型28例31眼に対して線維柱帯嵌置術を行った。6〜20か月の経過観察後の眼圧コントロール成績は96%であった。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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