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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻12号

1994年11月発行

文献概要

特別講演

白内障手術の歴史(連載第4回)

著者: 三島済一12

所属機関: 1東京大学 2東京厚生年金病院

ページ範囲:P.1904 - P.1908

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消毒法と麻酔法の進歩
 ちょうどGraefeが活躍した時代に,単に眼科手術が進歩したというだけでなく,その周辺技術が生まれてまいります。1847年には,イギリスのSimpsonが,エーテルを使い無痛分娩をやっております。1853年には,クロロホルムを使って,無痛分娩をやっておりますが,この無痛分娩は,当時のイギリスのビクトリア女王の第6子,アルバートの分娩でありました。ちょうどその頃,産褥熱は,消毒によって抑えられるという発見がウィーンでありまして,それを取り上げまして,1865年になりますと,イギリス人のListerが石炭酸を使った消毒方法をほぼ確立します。この石炭酸による消毒法は,先ほど言いましたボードインによって,日本にももたらされておりますし,その後東大の外科の教授をやりましたMueller,それからスクリバーらも,この消毒法を日本に持ってきております。1870年代から1880年にかけては,Koch, Pasteurらが細菌学の方法を確立し,そこへ日本からも北里柴三郎先生はじめ,大勢の人が留学して日本に細菌学をもたらしました。細菌学が確立し化膿の原因がはっきりわかりますと,なかなか厄介なListerによる石炭酸の消毒法から,1886年にはシンメルブッシュの蒸気消毒による滅菌法が確立され,初めて手術が,かなり安全に行われるようになってまいりました。
 白内障手術にもクロロホルムを使って十分に麻酔をしようという試みが随分ありました。1850年,Jungkenが使っていますし,1865年には,Jacobsonが,クロロホルムの使い方について大きな論文を書いています。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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