文献詳細
連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・72
文献概要
角膜切開白内障手術の適応
白内障手術に伴う角膜乱視を減らし早期の視力回復を計る目的では,従来より強膜外方からの自己閉鎖創切開が広く行われてきた。しかし,切開が小さくなればなるほど自己閉鎖創作成に伴う結膜や強膜に対する侵襲が相対的に過剰なのではないか,透明角膜を切開してもよいのではないか,と考えられるようになった。これが角膜切開clear corneal incisionによる白内障手術が始められたきっかけである。その主な利点は,結膜を温存したい緑内障眼の白内障手術や,出血傾向のある症例にも問題がなく応用でき,また全ての手術操作が容易であることである。しかし,角膜切開にはボーマン膜を切断するという欠点があり,このため,大きい切開では角膜形状の不安定をまねくことになる。また,球結膜の覆いがないことから,縫合糸に対する異物反応や術後感染の懸念という点からは不利な立場にある。したがって,角膜切開の利点が欠点を上回る場合,あるいは強膜からの自己閉鎖創切開を凌駕する可能性のある角膜切開とは,あくまでfoldable眼内レンズ(intraocular lens:IOL)の使用を前提とする自己閉鎖機能をもった小切開に限られる。
白内障手術に伴う角膜乱視を減らし早期の視力回復を計る目的では,従来より強膜外方からの自己閉鎖創切開が広く行われてきた。しかし,切開が小さくなればなるほど自己閉鎖創作成に伴う結膜や強膜に対する侵襲が相対的に過剰なのではないか,透明角膜を切開してもよいのではないか,と考えられるようになった。これが角膜切開clear corneal incisionによる白内障手術が始められたきっかけである。その主な利点は,結膜を温存したい緑内障眼の白内障手術や,出血傾向のある症例にも問題がなく応用でき,また全ての手術操作が容易であることである。しかし,角膜切開にはボーマン膜を切断するという欠点があり,このため,大きい切開では角膜形状の不安定をまねくことになる。また,球結膜の覆いがないことから,縫合糸に対する異物反応や術後感染の懸念という点からは不利な立場にある。したがって,角膜切開の利点が欠点を上回る場合,あるいは強膜からの自己閉鎖創切開を凌駕する可能性のある角膜切開とは,あくまでfoldable眼内レンズ(intraocular lens:IOL)の使用を前提とする自己閉鎖機能をもった小切開に限られる。
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