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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻13号

1994年12月発行

文献概要

臨床報告

脳偽腫瘍2症例の治療経過

著者: 勝田聡1 大塚賢二1 大谷地裕明1 五十嵐保男1 中川喬1

所属機関: 1札幌医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1945 - P.1949

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 脳偽腫瘍は,頭蓋内圧は充進するが神経放射線学的に占拠性病変や脳室拡大はなく,脳脊髄圧の亢進,乳頭浮腫と視野欠損を伴う症候群である。今回筆者らは,視神経鞘減圧術を施行した1例と,早期発見のため現在保存療法中の1例を経験した。症例1は39歳の女性で,原因不明の脳圧亢進および外転神経麻痺にて当科受診。両眼に高度のうっ血乳頭と求心性視野欠損を認め脳脊髄圧は380mmH2Oであった。諸検査の結果,脳偽腫瘍と診断し腰椎腹膜シャント術を行ったが視力低下が進行し,左視神経鞘減圧術を行った。術後4か月を経た現在,他眼のみ視力の回復が得られた。症例2は27歳の女性で,頭痛および眼痛にて当科受診。左眼のうっ血乳頭と視野欠損を認め脳脊髄圧は270mmH2Oであった。脳偽腫瘍の診断にて炭酸脱水素酵素阻害剤内服を開始し,頭痛,うっ血乳頭の軽減と視野欠損の進行の停止がみられ,現在経過観察中である。
 今回,脳偽腫瘍の早期例および進行例における治療経過につき,若干の考察を加え報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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