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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻2号

1994年02月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・88

眼窩嚢腫を伴った小眼球

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.120 - P.121

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 出生時すでに正常より小さい眼球を小眼球mi—crophthalmosという。小眼球の多くは胎生裂(眼杯裂) embryonal fissureの閉鎖不全によるものでcolobomatous microphthalmosという。その他に,稀に胎生裂閉鎖不全によらない純性小眼球nanophthalmosがある。胎生裂閉鎖不全による小眼球は眼窩内嚢腫を伴うことがあり,これを眼窩嚢腫を伴った小眼球microphthalmos withorbital cystという。
 胎生期の眼球は眼球内容の発育増大に伴って,眼球内圧の上昇が加わって眼球壁が伸展し成長する。胎生裂縁では眼杯内板は外板より早く発育するので,眼杯内板は軽度に外反している。なんらかの原因で胎生裂に閉鎖障害が生じ,同時に内板の分化が進みすぎていると両端の網膜が融合しない。そのために眼球内圧が上昇しないので,眼球は発育せずに小眼球にとどまり,しかも閉鎖不全の部位から眼球内容,特に外反した内板が眼球壁の外に膨隆して嚢腫を形成する。嚢腫は大きくなると眼瞼を内側から圧迫して小眼球は隠れてしまう。この場合,新生物と誤診されることもある(図1)。小眼球は潜伏眼球cryptophthalmosのこともある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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