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ライム病
著者: 新藤裕実子1 大野重昭1
所属機関: 1横浜市立大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.123 - P.129
文献購入ページに移動 ライム病は,スピロヘータによる新しい感染症であり,媒介種であるマダニの刺咬後,特徴的な慢性遊走性紅斑の出現を持って発症し,心臓・神経・眼などを侵す全身性疾患である。診断は疫学的背景,臨床経過,血清学的方法によって総合的に判断され,治療は抗生物質が有効である。ライム病は多彩な眼症状を示すことからわれわれ眼科医にとっても重要な疾患である。特に原因不明の炎症性眼疾患にはライム病が潜んでいる可能性がある。原因不明の炎症性眼疾患の治療はステロイドが中心となるが,ライム病では,こうしたステロイドのみの投与は適切な抗生物質の投与を遅らせるばかりか,治療に抵抗性を示す原因にもなりうるため注意が必要である。
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