臨床報告
白内障術後の角膜形状解析
著者:
大矢智博1
征矢耕一1
宮田和典1
徳永忠俊2
所属機関:
1東京大学医学部眼科学教室
2宮田眼科病院
ページ範囲:P.176 - P.181
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白内障手術における術後角膜乱視の変化を角膜形状解析装置を用いて検討した。対象は水晶体嚢外摘出術(ECCE)を行った11例14眼,水晶体超音波乳化吸引術(PEA)を行った13例13眼の2群で,術式はECCEでは11mm,PEAでは7mmの強角膜切開を行い,9-0 nylon糸による靴紐縫合を行った。角膜形状測定は,術前,術後1週,1か月,3か月に行い,形状解析は半径約0.35mm,1mm,1.5mm,2.5mmの部位に相当する垂直方向,水平方向,45°方向,135°方向の計32か所における屈折力を算出し,術後の変化を検討した。ECCE群では術後1週でほぼ上下対称的なsteep化が認められ,術後3か月においても角膜の形状は安定していなかった。一方,PEA群では術後1週で縫合部に近い部位のsteep化が認められたが,下方角膜の変化は少なく,その後,角膜形状は早期に術前の形状に近づいた。角膜全体の形状変化を定量的に検討できる本方法は,各種白内障手術,角膜屈折矯正手術などの評価に有用な手段であると思われた。