臨床眼科48巻4号

1994年04月発行

特集 第47回日本臨床眼科学会講演集（2）

学会原著

涙嚢部悪性腫瘍の1例

著者： 国吉一樹¹ 中尾雄三¹ 大鳥利文¹ 上石弘² 大薗澄江³ 橋本重夫⁴

所属機関： ¹近畿大学医学部眼科学教室 ²近畿大学医学部形成外科学教室 ³泉大津市立病院眼科 ⁴近畿大学医学部第2病理学教室

ページ範囲：P.591 - P.594

文献概要

　涙嚢部に原発した扁平上皮癌の1例の臨床経過について報告した。症例は78歳女性で，左涙嚢部に腫脹を認めた。生検で扁平上皮癌の診断を得た。左涙嚢部に一致して弾性硬，表面整で，可動性に乏しい直径約2cmの腫瘤を触知した。CT, MRI検査では同部に直径1.5cmの充実性の腫瘍陰影を認めた。眼窩内容除去術および側頭筋皮弁術を施行した。病理学的には扁平上皮癌であった。術後，左下顎部に小指頭大の腫瘤が出現したため，摘出した。病理学的には扁平上皮癌で，リンパ節転移と思われた。