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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻4号

1994年04月発行

臨床報告

脈絡膜剥離を合併した特発性頸動脈海綿静脈洞瘻の1例

著者: 北澤世志博1 星合純1 吉野幸夫1 清澤源弘1 佐野圭司2

所属機関: 1東京医科歯科大学眼科学教室 2富士脳障害研究所

ページ範囲:P.729 - P.733

文献概要

 右結膜充血,眼球突出および視力低下を主訴として来院した77歳女性の特発性頸動脈海綿静脈洞瘻(CCF)の1例を経験した。本症例は,本邦ではまだ2例と報告の少ない脈絡膜剥離を合併していた。特発性CCFに脈絡膜剥離が合併する機序は,上昇した海綿静脈洞圧の伝達により,脈絡膜から渦静脈への環流障害が起こるためと考えられている。本症例では,螢光眼底造影により,脈絡膜の循環障害が認められた。しかし,特発性CCFによく見られる上眼静脈の拡張は,著明ではなかった。したがって本症に脈絡膜剥離が合併した機序は,上昇した海綿静脈洞圧の伝達のみならず,眼窩内静脈に血栓が形成された可能性も示唆された。本症は,対症療法にて保存的に経過観察していたところ,硬膜動静脈奇形の縮小に伴い脈絡膜剥離を含む眼症の自然軽快が得られた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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