icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻5号

1994年05月発行

文献概要

特集 第47回日本臨床眼科学会講演集(3) 学会原著

遊泳用プールの腰洗い槽の塩素消毒の粘膜と皮膚に及ぼす影響

著者: 高柳泰世1 長屋幸郎1 松本義也2 大橋勝2

所属機関: 1名古屋市学校医(眼科)会 2名古屋大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.843 - P.846

文献購入ページに移動
 遊泳用プールの遊離残留塩素濃度は0.4mg/l以上,1.0mg/l以下であることが望ましいとされている1)。さらに遊泳前に用いる腰洗い槽の塩素濃度は,50〜100mg/lとされてきた。今回,この高濃度塩素消毒による粘膜と皮膚への障害を懸念し,その影響について検討した。培養正常ヒト表皮ケラチノサイトを用いた実験では,遊離残留塩素濃度100mg/lでは約50%の生存率で,強い細胞毒性が認められた。遊離残留塩素濃度100mg/lの腰洗い槽では,陰部の粘膜とともに臀部の皮膚にビランや裂傷がある子供では,皮膚障害が起こる可能性があることをうかがわせる。殺菌のためだけに塩素濃度を高くすることには問題があると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?