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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻5号

1994年05月発行

文献概要

臨床報告

家族性滲出性硝子体網膜症での硝子体出血

著者: 南部真一1 宮久保寛1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1015 - P.1022

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 家族性滲出性硝子体網膜症(以下FEVR)に突発した,大量の硝子体出血例8眼を経験した。8眼中5眼は自然吸収されたが,3眼は硝子体手術が必要であった。その結果裂孔または網膜剥離を併発していたものが,8眼中4眼(50%)と高頻度であった。また自然吸収までの期間は,6〜10日と短期間であった。硝子体出血の原因を検索すると,自然吸収例5眼中2眼(40%)は,50歳以上の高年者で,網膜剥離を伴った裂孔形成によるものであった。他の10台の若年者3眼では,網膜分離症および新生血管が原因であった。これらの病変は,網膜無血管野との境界部に発症していた。
 硝子体手術例は,全3眼中2眼は兄妹で,患眼の眼底は,硝子体手術によって明らかになった所見では,兄は全網膜剥離でPVRD4,妹は全網膜剥離の状態であった。いずれも3か月の時に硝子体出血を発症した。他の1眼は20台の若年者で,後部硝子体剥離により,乳頭周囲の血管から,硝子体出血を繰り返していた。
 FEVRに発症した大量の硝子体出血では,若年者よりも,高齢者および1歳未満の幼年者で,裂孔または網膜剥離を高頻度に併発することが多い。特に1歳以下の乳幼児では,急速に網膜剥離から増殖性硝子体網膜症を発症しやすい。したがって乳幼児の場合には,なるべく早く,また高齢者でも2週間たっても出血が吸収されなければ,硝子体手術を検討すべきである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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