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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻6号

1994年06月発行

文献概要

特集 第47回日本臨床眼科学会講演集(4) 学会原著

点眼薬防腐剤によると思われる不可逆的角膜上皮障害

著者: 平塚義宗1 木村泰朗1 藤田邦彦1 金井淳1

所属機関: 1順天堂大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1099 - P.1102

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 原疾患の性格上多種類の点眼薬を長期に続けた結果,不可逆的な角膜障害をきたした症例を経験し,防腐剤による関与が強く示唆されたので報告する。72歳男性。緑内障の診断で近医より長期多種点眼が行われ,両角膜上皮に混濁,角膜炎をきたしたため当科紹介された。点眼薬による角膜障害を考え,すべての点眼薬を中止,その後炎症は消失したが,β—blockerの点眼再開にて角結膜炎が再燃した。防腐剤を含まない人工涙液のみにした結果,炎症の鎮静化を認めた。圧迫細胞診で角膜上皮から角化細胞および杯細胞を認め,現在も角膜実質浮腫,混濁は残存している。投与された点眼薬のほとんどに防腐剤として塩化ベンザルコニウム(BAK)が含まれていることから,角膜障害に対するBAKの関与が強く示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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