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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻6号

1994年06月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

糖尿病網膜症での輪状増殖病変の形成過程

著者: 丸山泰弘1 岸章治1 村岡兼光1 岡野正2

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室 2東京医科大学霞ヶ浦病院眼科

ページ範囲:P.1253 - P.1257

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 増殖性糖尿病網膜症で生じた輪状増殖性病変の形成過程を,20例24眼で観察した。初診時には24眼全例で硝子体が未剥離であった。光凝固開始から平均4.6か月後に,全例に血管アーケードの外側の中間周辺部で,全周もしくは部分的な硝子体剥離が起こった。後極部では黄斑前の後部硝子体皮質前ポケット(ポケット)に一致して,ゲルが眼底から分離していた。後部硝子体膜の剥離(PVD)は19眼では,後極部には全経過を通じて起こらなかったが,そのうち6眼で牽引性網膜剥離を合併した。5眼ではトランポリン状の浅いPVDが起こった。
 この輪状増殖病変は,18眼では後極部を底としたすりばち状の不完全なPVDが生じ,それを足場にして発達した新生血管線維膜で形成された。この段階で成長する新生血管はおもに視神経乳頭と耳側血管アーケード由来であった。
 輪状病変の形成には,血管線維膜以外に,黄斑前のポケットの輪状の輪郭が,硝子体出血や硝子体ゲルの混濁で顕性化すること(4眼)や,ポケットの外縁のゲルが線維化すること(5眼)も関与していることが,今回の検索で明らかになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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