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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻7号

1994年07月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・93

視神経乳頭の構築と緑内障性変化

著者: 久保田敏昭1 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1336 - P.1337

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 視神経乳頭は垂直方向にわずかに長い楕円形を呈し,その大きさは径1.4〜2.0mmでかなりの個体差がある。視神経乳頭は,その外縁で網膜のMüller細胞によって形成される内境界膜がなくなり,前面を星状膠細胞からなる内境界膜に覆われ,これが硝子体に接している。全網膜からの神経線維軸索がここに集まるので,周辺部は隆起し,中央部は陥凹している。この陥凹を乳頭陥凹という。視神経乳頭の範囲には,視細胞その他の網膜の組織が,神経軸索を除いて全く欠如するので,Mariotte盲点を形成する。脈絡膜は視神経に達する少し手前で終わっており,この部には強膜がElschnig輪を形成している。視神経の篩板前部prelaminar regionと篩板部intralaminar regionは主に短後毛様体動脈由来の脈絡膜の動脈の枝,Zinn動脈輪からの枝で栄養されている。視神経の篩板後部retrolaminar regionは主に網膜中心動脈からの枝で栄養されている。
 図1は正常な視神経乳頭の眼底写真と眼球水平断のPAS染色標本である。乳頭はブルッフ膜から反対側のブルッフ膜までの間に相当する。乳頭を白く縁どっている乳頭周囲強膜輪peripapil-lary scleral ringは,組織ではElschnig輪にあたる。乳頭の赤橙色の部であるリムは網膜神経線維が視神経管内に入るまでの網膜神経線維層の厚みに相当する(図1)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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