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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻7号

1994年07月発行

文献概要

臨床報告

グリチルリチンと免疫グロブリン製剤の大量点滴で軽快したHIV抗体陽性血友病患者のサイトメガロウイルス網膜炎

著者: 野田康子1 佐藤章子1 荒井優子1 佐藤雄一2 河内暁一3 松山秀一1

所属機関: 1弘前大学医学部眼科学教室 2弘前大学医学部小児科学教室 3河内小児科内科クリニック

ページ範囲:P.1357 - P.1362

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 血液製剤からhuman immunodeficiency virus (HIV)に感染した11歳男児の血友病患者が,急激な免疫グロブリン値の低下をきたした後にサイトメガロウイルス網膜炎を両眼に発症した。副作用を考慮してガンシクロビルは用いず,以前から同患者に行われていたグリチルリチン大量点滴投与,sul—famethoxazole・trimethoprimなどの内服を継続し,免疫グロブリン製剤を併用した。両眼の眼底病変は細胞性免疫および液性免疫の改善とともに鎮静化し,再燃なく現在まで経過している。グリチルリチンおよび免疫グロブリン製剤の投与による免疫能の改善が,サイトメガロウイルス網膜炎の消炎に寄与したと考えられた。グリチルリチン大量点滴療法は重篤な副作用もなく,決定的な治療法のないHIV感染症およびサイトメガロウイルス網膜炎に対して試みる価値があるものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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