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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻7号

1994年07月発行

文献概要

臨床報告

超広角インドシアニングリーン螢光眼底造影の方法と所見

著者: 高橋京一1 村岡兼光1 得居賢二1 町田史子1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1419 - P.1426

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 広範囲脈絡膜循環の検索を目的として,新しい超広角赤外螢光眼底造影法を開発した。走査レーザー検眼鏡に広角前置レンズを併用し,眼球圧迫のない生理的状態で,約80°の画角の脈絡膜造影に成功した。さらに,周辺部を含む画像を貼り合わせることで,眼底全域の脈絡膜血管構築の観察が可能であった。
 正常12眼と病的眼42眼を対象として,超広角赤外螢光眼底造影を施行した。
 短後毛様動脈は,主に乳頭と黄斑を囲む領域から現れ周辺部に向かい走行した。短後毛様動脈は造影パターンから4〜6個の動脈群に分けることができた。分水嶺は61%の例で検出することができた。その検出には脈絡膜動脈の走行パターンが関与した。静脈系の分水嶺は基本的には乳頭を通る水平線と垂直線領域であったが,個人差が大きかった。渦静脈は5〜11個,平均7個検出された。内頸動脈閉塞症では脈絡膜循環が遅延していた。三角症候群,地図状脈絡膜炎,糖尿病網膜症などで,局所的な脈絡毛細管板の造影遅延や閉塞が観察された。糖尿病網膜症や原田病では,脈絡膜静脈数の減少が眼底全域で観察された。治療により寛解した原田病では脈絡膜静脈螢光は回復した。三角症候群では脈絡膜血管の狭細化がみられた。
 本法は,脈絡膜循環の知識を大幅に拡充する検査法であると結論される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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