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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻8号

1994年08月発行

臨床報告

アクリルソフト眼内レンズ術後2年の臨床成績

著者: 大鹿哲郎1

所属機関: 1東京厚生年金病院眼科

ページ範囲:P.1463 - P.1468

文献概要

 従来のpolymethylmethacrylate (PMMA)に近い物理的特性を持ち,折り曲げ挿入が可能で,屈折率が高いアクリルソフトからなる眼内レンズの,術後2年の臨床成績を検討した。対象は老人性白内障25例25眼(71.1±1.2歳,mean±SEM)で,超音波水晶体乳化吸引術ののち,3.4〜4.0mmの創から鑷子で折り曲げた眼内レンズを挿入した。矯正視力は術後3日で全例(100%)が0.5以上,18例(72%)が1.0以上であり,最終観察時点では全例(100%)が0.8以上,22例(92%)が1.0以上であった。角膜内皮細胞密度減少率は術後6か月で7.4±3.3%,術後2年で9.8±3.7%,フレアー・セルメーターで測定した前房内炎症の程度は,従来のPMMAやシリコーン眼内レンズよりも低かった。前嚢と後嚢の混濁も経過観察期間を通してきわめて軽微で,後発白内障は1例にみられたのみであった。
 アクリルソフト眼内レンズは特別な器具を用いずとも約3.5mmの小切開創から挿入可能であり,眼内での安定性が高く,臨床的価値が高いものと結論された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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