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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科48巻9号

1994年09月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・95

サイトメガロウイルス網膜炎

著者: 猪俣孟1 向野利彦1 石本聖一1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1556 - P.1557

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 サイトメガロウイルス網膜炎cytomegalovirusretinitisは神経組織に親和性をもつヒトサイトメガロウイルスhuman cytomegalovirus (HCMV)の感染によって起こる網膜の炎症をいう。サイトメガロウイルスによって感染された細胞では,DNAその他の細胞内蛋白合成が高まり,細胞は巨大化する。さらに,核および細胞質内に封入体をもっているので,サイトメガロウイルス感染症を巨細胞封入体症cytomegalic inclusion disease(CID)ともいう。
 サイトメガロウイルス感染には先天感染と後天感染がある。感染者の多くは不顕性で,無症状である。先天感染は経胎盤感染で,患児の多くは無症状であるが,稀に黄疸,肝脾腫,小頭症,網膜炎,脳石灰化などを示す。新生児は産道で感染する。成人で感染すると,サイトメガロウイルス単核症cytomegalovirus mononucleosisを起こし,発熱,肝炎,異型リンパ球増加が起こる。エイズおよび臓器移植後の免疫抑制薬や副腎皮質ステロイド薬の使用によって,生体の免疫力が低下すると,潜在性のHCMVが再活性化して日和見感染が起こる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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