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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻1号

1995年01月発行

文献概要

特集 ICG螢光造影 シンポジウム「ICG螢光造影所見の読影」

ICG螢光造影における明るい螢光および低螢光に関する実験的検討

著者: 河野剛也1

所属機関: 1大阪市立大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.35 - P.45

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 インドシアニングリーン(ICG)螢光造影読影の基本となる,「明るい螢光」,「低螢光」の表す病態,ならびに網膜色素上皮と強膜がICG螢光造影所見に及ぼす影響について報告した。ICG螢光造影では,正常の脈絡膜大血管の走行部位でも明るい螢光部としてみられるので,異常所見の意味を持つ「過螢光」は用いず,「明るい螢光」とした。「明るい螢光」の1つであるICG螢光漏出は,脈絡膜血管の透過性亢進と関係し,網膜色素上皮のバリア機能障害のない部位にも観察された。「低螢光」は,脈絡膜循環障害,ならびに螢光ブロックによることが判明した。脈絡膜循環障害は,造影後期のびまん性ICG螢光の有無すなわち脈絡膜毛細血管の存在により大きく2つに分類できた。脈絡膜毛細血管が保たれている脈絡膜動脈閉塞では,造影早期には脈絡膜流入遅延を生じるが,造影後期では正常びまん性ICG螢光がみられた。また脈絡膜毛細血管閉塞をきたす網脈絡膜萎縮病巣では,造影中期から後期に低螢光となった。
 in vitroの実験モデルにより,網膜色素上皮内の色素の増減が,ICG螢光造影所見に及ぼす影響は小さく,強膜の反射が,ICG螢光造影所見に大きく影響することを報告した。このように,ICG螢光造影所見の表す病態は,フルオレセイン螢光造影のそれとは異なるものであるから,両螢光造影を比較検討することにより,網脈絡膜疾患における病変の局在を詳細に検討できると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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