文献詳細
文献概要
連載 眼の組織・病理アトラス・108
転移性眼窩腫瘍
著者: 坂本泰二1 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1630 - P.1631
文献購入ページに移動 転移性眼窩腫瘍は眼窩腫瘍の4.5〜10%を占める稀な疾患である。小児と成人では原発巣が一般に異なる。小児では,神経芽細胞腫やウィルムス腫瘍が原発巣となることが多い。成人については,欧米では原発巣は乳腺肺が多いとされてきたが,日本では乳腺,胃,副腎からの転移が多かった。しかし,近年の肺癌の罹患率上昇に伴って肺からの転移が増えている。
好発年齢は小児または50歳から60歳台である。臨床症状は,腫瘍が転移した部位により異なる。複視,眼球突出,腫瘤触知,眼痛,眼瞼下垂,結膜浮腫,視力低下などがみられる。通常片眼性であるが,まれに両眼性のことがある。特に小児に多い神経芽細胞腫やウィルムス腫瘍の眼窩内転移では,急速に進行する両眼性眼瞼下垂と眼窩縁の斑状出血という特徴的な症状を示す。診断にはCT検査や生検が必要である。原発巣よりも先に眼症状がみられる場合や,原発巣が治療された後に数年を経てから眼症状が出現することがあり,診断が難しいことがある。血清CEAなどの腫瘍マーカーが診断の助けとなる。
好発年齢は小児または50歳から60歳台である。臨床症状は,腫瘍が転移した部位により異なる。複視,眼球突出,腫瘤触知,眼痛,眼瞼下垂,結膜浮腫,視力低下などがみられる。通常片眼性であるが,まれに両眼性のことがある。特に小児に多い神経芽細胞腫やウィルムス腫瘍の眼窩内転移では,急速に進行する両眼性眼瞼下垂と眼窩縁の斑状出血という特徴的な症状を示す。診断にはCT検査や生検が必要である。原発巣よりも先に眼症状がみられる場合や,原発巣が治療された後に数年を経てから眼症状が出現することがあり,診断が難しいことがある。血清CEAなどの腫瘍マーカーが診断の助けとなる。
掲載誌情報