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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻10号

1995年10月発行

文献概要

臨床報告

シソマイシン点眼剤による結膜上皮剥離の8症例

著者: 山田利津子1 佐野和人1 土屋優子1 小松章1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1645 - P.1649

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 アミノグリコシド系抗生物質シソマイシン(sisomicin:SISO)点眼剤は広域スペクトル抗菌剤で,ことにグラム陰性菌を疑われる症例には短時間で著効を示す。また,インドール陰性Proteus菌や一部の緑膿菌などのゲンタマイシン耐性菌や,ニューキノロン剤低感受性菌にも有効であり,角膜障害の少ない点眼剤として汎用されている。今回はSISO点眼液が原因と考えられる結膜上皮剥離を生じた8症例を経験した。これらの症例はSISO点眼開始後3〜29日後に,輪部結膜に上皮剥離を生じ,投与中止後6日以内に改善をみた。上皮剥離は主として瞼裂間領域から下部の輪部結膜に生じ,直径1〜3mmの大きさであった。症例は塩化ベンザルコニウムおよびSISOによる角膜のアレルギー症状は認められず,基礎に局所の生体防御機構の異常をきたしうる疾患を有し,SISOによる細胞毒性が原因と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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