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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻10号

1995年10月発行

臨床報告

外傷性不完全型視神経乳頭離断の1例

著者: 根本徹1 市辺義章1 斎藤隆1 土屋邦彦1 向野和雄1

所属機関: 1北里大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1653 - P.1657

文献概要

 12歳女児の鈍的外傷による外傷性不完全型視神経乳頭離断の症例を経験した。投げられた傘の木製の先端が左上眼瞼に当たり受傷し,2日後に紹介により受診した。左眼の視力は,眼前50cm/手動弁(矯正不能)。角膜びらん,前房所見として前房出血,炎症細胞,滲出物がみられた。左眼の硝子体の上方には硝子体混濁がみられ,下方に少量の硝子体出血,および網膜前出血がみられた。左眼底所見としてはBerlin混濁と下方周辺部の網膜振盪症がみられた。視神経乳頭は発赤,腫脹し,一部下方がかなり深く陥凹し,蛍光眼底写真からも視神経乳頭部分離断と考えられた。Goldmann視野検査で患眼は下方視野の一部のみが保存されていた。保存的治療を行い,受傷後約2年が経過したが矯正視力は0.2とある程度保たれ,下方視野はかなり保たれている。一般に多量の硝子体出血などで眼底の透見が困難であることが多いこの疾患で,本症例は硝子体出血が少なく,初診時より眼底検査,蛍光眼底検査を含めた眼科的検査が可能でその推移をみることができた。さらに,本症例の受傷機転などについても考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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