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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻3号

1995年03月発行

文献概要

特集 第48回日本臨床眼科学会講演集(1) 学会原著

角膜移植後の抜糸が上皮細胞に与える影響

著者: 島﨑潤1 佐竹良之1 高野洋之1 楊浩勇1 戸田郁子1 小野眞史1 藤島浩1 坪甲一男1

所属機関: 1東京歯科大学眼科

ページ範囲:P.453 - P.456

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 角膜移植後の抜糸が,角膜上皮細胞の形態,機能にどのような影響を及ぼすかを検討した。対象は,全層角膜移植後に抜糸を行った34眼(平均年齢57.1歳)である。抜糸前後に角結膜染色スコアー,角膜知覚,涙液層破壊時間,涙液機能,上皮スペキュラーマイクロスコピー,前眼部螢光測定装置による上皮透過性の測定および自覚症状変化の聴取を行った。
 抜糸による角結膜染色スコアー,角膜知覚,涙液層破壊時間,涙液機能の変化はなかった。紡錘形上皮細胞出現率は,抜糸前の15眼(47%)から4眼(25%)と有意に減少した(p=0.04)。平均上皮細胞面積は,抜糸により有意の変化がみられなかったが,抜糸前に1,000μm2以上と著しく増大していた症例では全例で減少した。上皮透過性は,抜糸により若干改善していたが有意差はなかった。しかし抜糸前に100ng/ml以上であった13眼中10眼は抜糸により改善をみた。自覚的には,異物感,眼の開けやすさに改善を認めたものが多かった。全体としては,抜糸による上皮細胞の変化は症例による差が大きかったものの,上皮細胞面積の増大,透過性の亢進がみられた例の多くは,抜糸により改善した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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