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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻4号

1995年04月発行

文献概要

特集 第48回日本臨床眼科学会講演集(2) 学会原著

関節リウマチ患者における眼内レンズ挿入術後の前房炎症

著者: 松尾俊彦1 藤原美樹2 松尾信彦1

所属機関: 1岡山大学医学部眼科学教室 2倉敷広済病院眼科

ページ範囲:P.621 - P.624

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 関節リウマチ患者に眼内レンズ挿入術を行った23例について,術前のリウマチ活動度と術後の前房炎症との相関を検討した。白内障の熟度は,前嚢および後嚢下混濁から成熟白内障まで様々であり,術前には前房炎症を認めなかった。水晶体核の硬度に応じて嚢外摘出術または超音波乳化吸引術を選択した。術後1か月後にもなお前房炎症(1+)がみられる症例(11例)では,前房炎症が全くみられない症例(12例)に比べて術前の血清リウマチ因子が有意に高かった(P=0.0007,対応のないt検定)。前房炎症は全例で術後3か月目には消退し,虹彩癒着や類嚢胞黄斑浮腫などの合併症はみられなかった。関節リウマチ患者では,術前のリウマチ活動度が高いと眼内レンズ挿入術後の前房炎症が遷延化する傾向はあるものの大きな合併症はきたさず,眼内レンズ挿入術は基本的には安全な手術といえる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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