文献詳細
臨床報告
文献概要
過去10年間に岡山大学医学部附属病院眼科外来を受診したむちうち症7例を対象として,輻輳不全と調節障害の有無,その経過および治療予後について検討した。7例全例に調節力の低下がみられた。輻輳近点を測定できた6例のうち,3例では正常,1例では延長し,2例では輻輳不能であった。輻輳近点の延長と調節力の低下が同時にみられたのは3例であった。調節障害に対しては凸レンズ付加の近用眼鏡を,輻輳不全には基底内方プリズムを付加した近用眼鏡を処方した。経過観察中に自覚症状は改善したが,輻輳機能や調節力の改善はみられなかった。眼科的不定愁訴のあるむちうち症では,調節障害や輻輳不全を念頭に診療にあたる必要がある。
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