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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻5号

1995年05月発行

文献概要

連載 眼の組織・病理アトラス・103

涙腺

著者: 猪俣孟1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.812 - P.813

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 ヒトの涙腺lacrimal glandは眼窩上耳側の眼窩縁後方にある主涙腺main lacrimal glandと結膜円蓋部のKrauseの副涙腺accessory lacrimalglandおよび上眼瞼の結膜上部に散在するWol—fringの副涙腺からなる。涙腺は涙を分泌して角膜の表面を潤すのみならず,リソチームや免疫グロブリンを分泌して眼球の表面を保護している。瞬目によって涙を常時分泌しているのは副涙腺で,主涙腺は精神的な感動や異物に対する刺激反応などで瞬時に多量の涙を分泌する。
 主涙腺と副涙腺の組織構造は基本的には同様で,腺房acini (図1)と導管ducts (図2)および間質interstitiumからなる。腺房と導管の集合部位を涙腺と呼ぶが,周囲組織との間に明瞭な限界膜はない。腺房の内腔に面して円柱状の腺房細胞acinar cellまたは分泌細胞columnar secretorycellが存在する。腺房細胞の胞体には,内腔に近い部位に多数の分泌顆粒zymogen granulesが存在し(図3),その部位はPASに染まる(図1)。腺房細胞の外側に扁平な筋上皮細胞myo—epithelial cellがある(図4)。腺房細胞は連続的に配列して内腔を取り巻いているが,筋上皮細胞は非連続性である。導管も内腔側の細胞と壁側の細胞からなり,内腔側の細胞には顆粒が含まれている。導管の細胞内顆粒は腺房細胞内のものよりも小さく,数も少ない。導管壁側の細胞には筋線維様の線維はほとんどみられない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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