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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻5号

1995年05月発行

文献概要

特集 第48回日本臨床眼科学会講演集(3) 学会原著

角膜掻爬により誘発されたと考えられた片眼性の膠様滴状角膜変性の1例

著者: 宮本和久1 渡辺仁1 切通彰1 下村嘉一2 石井康雄3

所属機関: 1大阪労災病院眼科 2大阪大学眼科学教室 3新川橋病院眼科

ページ範囲:P.839 - P.842

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 角膜掻爬により誘発されたと考えられた片眼性の膠様隆起物を伴った角膜変性の1例を経験した。右眼の臨床所見は,細隙灯顕微鏡所見,自覚症状ともに,膠様滴状角膜変性症のそれに酷似していた。左眼には乳白色の隆起物や上皮欠損は認められなかったが,上皮下に非常に繊細な点状混濁がびまん性に存在した。角膜移植後に得られた角膜片の組織学的検索では,ボーマン膜の消失,上皮下から実質浅層にコンゴーレッド染色陽性のアミロイドの存在が確認された。電子顕微鏡所見ではアミロイド線維は変性した上皮細胞層,上皮基底細胞や実質の細胞質内にもみられ,膠様滴状角膜変性症に類似した所見を呈していた。本症例の発症機序として,左眼の上皮下混濁の所見を考慮すると,角膜上皮が変性症発症の準備状態にあり,角膜掻爬や点眼によるストレスが,潜在的なアミロイド産生能を片眼のみ特異的に加速させたものと考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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