特集 第48回日本臨床眼科学会講演集(3)
学会原著
向精神薬療法中の精神神経疾患患者にみられた眼所見の20年後の追跡調査結果
著者:
長田正夫1
玉井嗣彦1
中尾寛1
三木統夫1
浜本順次1
国頭七重1
石原涼子1
瀬戸川章1
西村慶子1
小椋力2
大田郁也2
岸本朗3
杉原寛一郎4
松下棟治4
所属機関:
1鳥取大学医学部眼科学教室
2琉球大学医学部精神神経科学教室
3鳥取大学医学部神経精神医学教室
4安来第一病院精神科
ページ範囲:P.871 - P.876
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向精神薬で加療中の精神神経疾患患者で,1973年と1982年に眼科的検査を行った患者のうち,1993年に追跡調査できた39例78眼(平均罹病期間33.8±7.0年,平均年齢58.3±8.1歳)の患者に対し,向精神薬の及ぼす眼所見を検討した。その結果,球結膜色素沈着は8例(14眼)18%(全被検眼数に対する比率),眼瞼皮膚色素沈着は1例(2眼)3%,角膜混濁は3例(6眼)896,眼底異常色素沈着は2例(2眼)3%,水晶体混濁は17例(34眼)44%にみられ,以前の調査結果と比べ,水晶体混濁例が著明に増加していた。水晶体混濁は,星芒状,ヒトデ型,前極部点状混濁型であった。進行は星芒状からヒトデ型が最多であり,ヒトデ型以後はほとんど不変であった。水晶体混濁の原因として,抗精神病薬の蓄積による障害を無視できないと思われた。