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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻6号

1995年06月発行

文献概要

臨床報告

眼内浸潤を伴った視神経膠腫の1例

著者: 久米千鶴1 河野剛也2 尾花明2 上江田洋子3 北野宏明3 三木徳彦2 田中尚子4

所属機関: 1大阪市立十三市民病院眼科 2大阪市立大学医学部眼科学教室 3東住吉森本病院眼科 4大阪市立総合医療センター小児眼科

ページ範囲:P.1238 - P.1241

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 眼瞼腫脹を主訴に来院した生後5か月女児の眼底に,後極部全体に広がる凹凸不整の黄白色病変を認めた。超音波検査で乳頭部に中等度のエコーのある腫瘤を認め,CTおよびMRI検査では紡錘形に腫大した視神経が描出され,臨床的に視神経膠腫と診断した。治療法は眼球を含めて視神経を視交叉まで切除した。病理学的に組織は星状膠細胞腫で,眼内では強膜・脈絡膜に異常はなく,視神経とともに乳頭近傍の網膜の神経線維層・視神経節細胞層に腫瘍細胞を認めた。したがって腫瘍細胞は乳頭より網膜内へと浸潤したものと考えられた。乳幼児に本症例のような眼底所見を認めた場合,網膜芽細胞腫との鑑別が大切であり,また,病状の進展も早い場合が多いので注意が必要であると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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