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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科49巻7号

1995年07月発行

雑誌目次

連載 眼科手術のテクニック—私はこうしている・79

Self-sealing (incision) ECCE

著者: 德田芳浩

ページ範囲:P.1282 - P.1283

ECCEは難しい
 ECCE(extracapsular cataract extraction)は切開創が大きく,前房が保ちにくい。どうしても,虹彩や角膜内皮への接触が増えて,炎症も強くなりやすい。いうなれば,ECCEとは,硝子体圧,静水圧,大気圧と術者とが,四つどもえに繰り広げる格闘技である。筆者はこのバトルに対して,自己閉鎖創の作成とその処理の,2つの決め技を武器に臨んでいる。

眼の組織・病理アトラス・105

涙腺の腺様嚢胞癌

著者: 猪俣孟

ページ範囲:P.1286 - P.1287

 腺様嚢胞癌adenoid cystic carcinomaは涙腺腫瘍の中で多形性腺腫に次いで2番目に多く,涙腺悪性腫瘍の代表的な疾患である。患者は10歳台から70歳台におよび40歳台に最も多い。女性のほうが男性よりもやや頻度が高い。腫瘍は浸潤性に神経周囲や外眼筋に広がるので,疼痛,眼瞼下垂,複視などの症状が発症初期から出現し,症状は短期間に悪化進行する。画像では,多形性腺腫に比較して腫瘍の境界がより不明瞭かつ不規則である。腫瘍の浸潤で症例の80%に骨の破壊が観察される。腫瘍はしばしば上眼窩裂に達して,三叉神経の眼枝および中頭蓋窩に広がる。遠隔転移は少ないが,頸部および耳側リンパ節が侵される。腫瘍が骨や筋肉に浸潤しているために,完全な剥出は極めて難しい。
 病理学的には,腺様嚢胞癌は涙腺の上皮性悪性腫瘍で,篩型またはスイスチーズ型(図1),硬化型,基底細胞腫型(図2),コメド癌型(腫瘍塊の中央が壊死に陥っている),腺管型などの形態をとる。腫瘍塊の中央に粘液用の物質が貯留して,篩状またはスイスチーズ様をしているものが最も多い。細胞塊の中にできた管腔様のスペースは,細胞塊周囲の間質と連絡する通路が存在し,間質と類似した基底膜様物質や膠原線維が貯留している(図2)。しかし,これは真の腺構造ではなく,腺類似の構造であるので,腺様adenoidと呼ばれている。疼痛やしびれがある症例では,腫瘍細胞の神経周囲への浸潤がみられる(図3)。腺様の構造を示さない基底細胞腫型basaloid typeが最も予後が悪く,5年生存率は約20%である。これに対し,基底細胞腫型の様子が全くみられない非基底細胞腫型nonbasaloid typeの5年生存率は約70%であるという。

眼科図譜・342

アトピー性白内障術後に発生した毛様体ひだ部裂孔

著者: 白数純也 ,   吉村長久

ページ範囲:P.1290 - P.1291

 緒言 近年アトピー性皮膚炎が増加し,それによる白内障や網膜剥離などの眼合併症が数多く報告されている。アトピー性皮膚炎に合併する網膜剥離に特徴的な原因裂孔には毛様体扁平部裂孔や毛様体ひだ部裂孔などの報告がみられるが,その発生の成因についてはいまだ定説はない1〜3)。今回筆者らは,アトピー性白内障の術後に発生した毛様体ひだ部の裂孔を伴う網膜剥離を経験したので報告する。

今月の話題

最近の眼内レンズ

著者: 清水公也

ページ範囲:P.1293 - P.1296

 眼内レンズは,患者のamenityを求める声や,quality of lifeへの社会の要求を背景にして,機能,素材や挿入手術など大きく変貌してきている。最近,注目される3種の眼内レンズを紹介する。

臨床報告

難治性黄斑円孔に対する硝子体再手術と自己血清滴下

著者: 森圭介 ,   米谷新

ページ範囲:P.1310 - P.1315

 難治性黄斑円孔に対し,自己血清を滴下することで良好な成績を得た。対象は初回硝子体手術を行った25眼中,液—気体置換術を追加しても治癒しなかった難治例で,再手術の同意が得られた5眼である。術直前に採血しておいた自己血清を0.1〜0.3ml黄斑部に滴下し,平均7分間留置した。再手術を行った5眼中4眼で解剖学的な円孔の閉鎖が得られ,5眼中3眼では2段階以上の視力の改善がみられた。従来の黄斑円孔手術における液—気体置換に自己血清の滴下を追加することにより,難治性黄斑円孔においても円孔閉鎖が期待できることが明らかとなった。

眼窩神経鞘腫の画像診断

著者: 橋本雅人 ,   大塚賢二 ,   五十嵐保男

ページ範囲:P.1317 - P.1322

 眼窩内神経鞘腫の3例について画像(特にMRI)と病理組織学的所見との比較を行い,その特徴について検討した。外部形状では全例が境界明瞭な円,楕円形を示し,被膜を有する組織形態を反映していた。内部陰影では,病理組織学的分類のAntoni A型に相当する領域は造影MRlにて著明な造影効果を示したのに対し,Antoni B型に相当する領域は造影効果をほとんど示さなかった。また組織学的に多結節型を示した1例は造影MRIにてモザイク状の陰影として描出された。今回のMRIにおける解析結果と病理組織学的所見との比較から,MRIは腫瘍の外部形状,内部陰影をかなり微細なレベルまで画像上に描出が可能であることが確認された。

線維柱帯切除術後の持続性低眼圧と視力低下の関連因子

著者: 国松志保 ,   堀純子 ,   角田典哉 ,   新家真

ページ範囲:P.1323 - P.1327

 線維柱帯切除術後の低眼圧症は視力低下を含む種々の合併症をきたす場合がある。術後低眼圧の発症と視力低下に関連する術前,術中および術後因子を検討した。
 対象は,フルオロウラシル(5—fluorouracil)を用いた術後観察期間2年間の線維柱帯切除術を施行された開放隅角緑内障98例120眼である。長期低眼圧(5mmHg以下,6か月以上)は14眼(120/0)で発生し,長期低眼圧群で非低眼圧群に比べ有意に白内障進行によらない視力低下が多かった(p<0.05)。術後2週目の平均眼圧が5mmHg未満になると,長期低眼圧となる確率が飛躍的に高くなることがわかり,5mmHgが線維柱帯切除術後早期の眼圧値として,ひとつの予後因子になると考えられた。

増殖性硝子体網膜症grade Aの所見と網膜裂孔の種類との関係

著者: 三浦雅博 ,   出田秀尚 ,   出水誠二 ,   竹中千昭 ,   山本親広 ,   斎木裕 ,   嶋田伸宏

ページ範囲:P.1328 - P.1330

 増殖性硝子体網膜症の分類(1991年)のgrade Aの所見である,haze, clumps, clustersが,網膜裂孔の形および大きさとどのように関係するか検討した。1992年3月から1年間に手術を行った裂孔原性網膜剥離271眼を対象とした。網膜裂孔をtear, hole,裂孔不明に分けた。hazeは裂孔不明で多かった。clumpはtearで多く,tearのうち3乳頭径以上に多かった。clusterはtearで多かった。clump,clusterの発生は網膜裂孔の形態と関係することがわかった。

成人発症型卵黄様黄斑変性症の1例

著者: 白神千恵子 ,   竹内正光 ,   松永裕史 ,   宮島理乃 ,   田上伸子 ,   宇山昌延

ページ範囲:P.1335 - P.1339

 成人発症型の卵黄様黄斑変性症と思われる1例を報告した。症例は36歳の男性の両眼の黄斑部の網膜深層に,1/3〜1/4乳頭径大の黄色病巣がみられた。視力は左眼は正常であったが,右眼は軽度低下し,網膜電図・電気眼球運動図ともにsubnormalであった。螢光眼底造影では,黄色病巣の低螢光と輪状の過螢光がみられ,インドシアニングリーン螢光眼底造影でもほぼ同様の所見であった。走査レーザー検眼鏡で観察すると,ダイオード光では,異常はみられなかったが,ヘリウムネオンレーザー光,ダイオードレーザー光では,病巣が明瞭に観察され,病巣は網膜色素上皮レベルにあるとともに,その周囲に広範囲に色素上皮の異常のあることが示された。

走査型レーザー検眼鏡による中心性漿液性網脈絡膜症の網膜色素上皮病変の評価

著者: 松岡俊行 ,   小椋祐一郎 ,   松村美代 ,   本田孔士

ページ範囲:P.1341 - P.1345

 走査型レーザー検眼鏡(SLO)を用いて中心性漿液性網脈絡膜症16例16眼の眼底変化を観察し,従来の螢光眼底撮影によって得られる眼底の所見と比較検討した。SLOでは各光源を用いて眼底の異なった層を強調して観察することが可能であった。アルゴンレーザーでは漿液性網膜剥離の境界が明瞭に観察された。ヘリウムネオンレーザーでは網膜表層から網膜下層の沈着物がよく描出された。赤外線レーザーでは網膜色素上皮の様子がよく観察できた。症例によっては,赤外線レーザーにより検出できた網膜色素上皮の乱れの範囲は,螢光眼底撮影により検出される範囲より広範囲であった。

Paradoxic levator inhibitionの1例

著者: 河合礼子 ,   富田香 ,   田中靖彦 ,   藤池佳子 ,   村上環 ,   関亨 ,   山岸敬幸 ,   今田牧子 ,   古庄友巳

ページ範囲:P.1347 - P.1350

 3歳男児のparadoxic levator inhibitionの1例を経験した。生後から,左眼内転時に左眼の眼瞼下垂が生じるが,本症例では,上方視時には左眼が過剰上転するという異常連合運動を伴っていた。また全身的にはファロー四徴症を合併していた。患児は,指標固視時には眼瞼下垂を生じることは少なく,視力,両眼視の発達は良好であった。また成長につれて眼瞼下垂の頻度は減少しており今後も改善していくことが期待される。
 Paradoxic levator inhibitionの発生機序は不明であるが,胎生期に何らかの因子が働き,眼瞼運動や眼球運動を支配する神経の中枢性の異常によると椎察された。

眼内に浸潤した眼瞼基底細胞癌の1例

著者: 吉田茂生 ,   吉川洋 ,   本松薫 ,   栗原かすみ ,   濱本美佳 ,   藤澤公彦 ,   村田敏規 ,   大西克尚 ,   清水信之 ,   永江祥之介

ページ範囲:P.1351 - P.1354

 眼球内に浸潤した眼瞼原発の基底細胞癌の1例を経験した。症例は79歳の女性で,左下眼瞼の外眼角付近に発生した腫瘍に対し腫瘍切除術を2回施行された後,眼窩内に腫瘍が浸潤し球後に達したため,眼窩内容除去術が施行された。初回手術時の病理診断は,充実型と線維増殖型の2種類の胞巣型が混在した基底細胞癌であった。3回目の手術時に摘出された眼球の組織標本では,腫瘍は強角膜輪部から上強膜静脈,房水静脈,シュレム管,線維柱帯を経由して毛様体に浸潤していた。
 基底細胞癌は一般に進行が緩徐で転移も稀な予後良好な腫瘍であるが,線維増殖型などの分化度が低い腫瘍であれば浸潤転移の可能性がある。初回手術時に完全に摘出することが重要である。

緑内障患者のquality of lifeに対する調査

著者: 細田源浩 ,   山本哲也 ,   塚原重雄

ページ範囲:P.1355 - P.1358

 緑内障患者のquality of life (QOL)に関する調査を独自のアンケート表を用いて行い,精神面,身体面,社会面,経済面,家庭面の5要素について,スコア化したうえで性別,年齢,病期,治療との関連を検討した。また手術を受けていない患者の手術願望,手術を受けた患者の術後の感想も検討した。その結果,精神面で最もQOLの低下がみられ,経済面でも最も影響が少なかった。各要素とも,加齢とともに,また病期の進行とともにQOLは低下した。治療との関係では,投薬を受けている群にQOLの低下がみられた。手術を受けたいと答えた患者が全体にかなり高率にみられた。「手術を受けて良かった」と回答した患者が多くみられた。今回の調査結果から緑内障の治療にあたっては,患者のQOLの向上を考えた治療,特に精神的な不安を取り除くことの重要性が確認された。

冠動脈造影中に網膜中心動脈閉塞を発症した1例

著者: 沢口昭一 ,   阿部春樹 ,   長谷川茂 ,   田村雄助

ページ範囲:P.1359 - P.1361

 53歳の男性で冠動脈造影中に網膜中心動脈閉塞を生じた1例を経験した。患者には発症後すぐに眼球マッサージ,ウロキナーゼの点滴静注,さらに前房穿刺などの処置が行われた。経過中に部分的なcherry-red spotを生じたが,幸いにも中心視力は保たれた。また視野の欠損は一部改善したが,完全には回復しなかった。

末期開放隅角緑内障眼での中心視力と関連因子

著者: 石井清 ,   新家眞 ,   鈴木康之 ,   相原一 ,   堀純子

ページ範囲:P.1363 - P.1366

 正常眼圧緑内障(NTG)と原発開放隅角縁内障(POAG)の末期例の中心部視野と視力の関係を,多変量解析によって比較検討した。ハンフリー視野計中心30-2プログラムで得られるmean deviation(MD)が-20bB以下のNTG群25症例33眼(無治療時眼圧≦21mmHg),POAG群57症例71眼(同≧22mmHg)を対象とした。目的変数を矯正視力(対数値)として重回帰分析を行い,説明変数としては病型,性別,年齢,屈折,MD値および30-2プログラム結果上での上半叉は下半視野の障害度の差とした。全症例を対象とした解析では,近視とPOAGが矯正視力に有意の悪影響を示し(P<0.05〜0.01),また病型別の解析ではPOAGでは近視が強く,MD値が低いほど,NTGでは近視が強いほど,短正視力に悪影響を持つ因子であることが判明した(P<0.05〜0.01)。

水晶体脱出を伴う外傷性強角膜裂傷10眼の硝子体手術

著者: 鈴木純一 ,   関根伸子 ,   斎藤哲哉 ,   鈴木治之 ,   小柳秀彦 ,   中川喬

ページ範囲:P.1367 - P.1371

 札幌医科大学眼科で受傷時すでに水晶体が脱出していた強角膜裂傷10例の治療成績を報告する。症例は男性9例,女性1例,年齢は11〜65歳,平均38.6歳であった。角膜裂傷2眼,強膜裂傷2眼,強膜・角膜裂傷6眼であった。5眼に網膜剥離が発生し,3眼は巨大裂孔,1眼は脈絡膜出血を伴う網膜剥離で,4眼に術後12〜28日(平均18日)に硝子体手術が行われたが,最終視力は不良であった。網膜剥離の発生しなかった5眼のうち4眼に対して術後23日から60日(平均36日)後に硝子体手術が行われた。0.06以上の視力が4眼に得られ,1眼は外傷性無虹彩症による続発性緑内障で角膜混濁をきたし,2眼では後極部の網膜萎縮の所見がみられた。

ランタンテストによる先天色覚異常の評価

著者: 田邊詔子 ,   深見嘉一郎

ページ範囲:P.1373 - P.1375

 先天赤緑異常3,297例の市川ランタンの成績を検討した。検査光9組の誤数の平均は第1色盲は7.8,第2色盲は6.1,第1色弱は5.4,第2色弱は4.9で有意の差があった。試行2回の誤数の差1以内のものは,第1色盲は86%,第2色盲は82%,第1色弱は88%,第2色弱は83%で,高い再現性を示した。ランタンテストをパスするもの(誤数0)は1.9%,そのうち2回以上の試行で常に正答であったものは約1/3(0.6%)で,色光視認は色覚異常者にとって非常に難しい。
 ランタンテストは,信号灯とは一線を画して,堅固な理論的根拠を持つ色覚検査とすべきである。

感染性眼内炎の臨床的検討

著者: 藤江敬子 ,   中村聡 ,   杉田美由紀 ,   磯部裕 ,   秦野寛 ,   大野重昭

ページ範囲:P.1377 - P.1381

 1991年8月〜1993年9月の2年2か月間に横浜市大眼科を受診した感染性眼内炎10症例について,年齢,性差,背景因子,発症動機,症状,起炎菌,治療,視力予後を検討した。症例の内訳は真菌性眼内炎が6例8眼,細菌性眼内炎が4例4眼であった。真菌性眼内炎では6例全例にintravenoushyperalimentation (IVH)の既往が認められた。細菌性眼内炎は外傷性1例,術後1例,内因性2例であった。真菌性眼内炎は全例フルコナゾール投与による治療を行ったが,視力予後は比較的良好であった。細菌性眼内炎は全例に抗生物質投与と硝子体切除術を行ったが,視力予後は症例によって分かれた。細菌性眼内炎は視力予後が悪く,速やかな診断と治療が重要であると考えられた。

カラー臨床報告

白血病治療中の小児に発症したサイトメガロウイルス網膜炎

著者: 白紙靖之 ,   有地美和 ,   岸本直子 ,   上原雅美 ,   岩見均

ページ範囲:P.1297 - P.1301

 5歳男児に発症したサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎を経験した。患児は1991年に急性リンパ性白血病と診断され,化学療法により完全寛解し,その後維持療法を受けていた。1992年7月末,不明熱で入院,9月末には尿,咽頭ぬぐい液からCMVが分離され,血液検査でCMV-lgM陽性,CMV-DNAが検出され,CMV感染症と診断された。1992年10月には左眼網膜鼻側周辺部に微細顆粒状滲出斑をみとめた。1993年1月には,出血,滲出斑,網膜血管炎,網膜浮腫を伴い典型的な病像を示した。Ganciclovirの投与をおこなったが,炎症は再燃と緩解を繰り返し,1993年6月には,右眼黄斑部にも滲出斑が出現し,視力は0.3に低下した.この時点で小児科医の判断により化学療法を中止,その後網膜炎はいったん完全に沈静化した。化学療法中止9か月後,白血病が再発,化学療法を再開し,現在も経過観察しているが,現在のところ網膜炎の再燃はない。これらの経過中,血中natural killer細胞の活性値の推移と網膜炎の推移は逆の相関関係を示した。

硝子体出血を発症した網膜色素線条症の1症例

著者: 青柳康二 ,   清水良

ページ範囲:P.1303 - P.1308

 網膜色素線条症の黄斑部合併症は限局性で,周辺部網膜や硝子体への進展は通常みられない。筆者らは網膜色素線条症の経過中に硝子体出血を発症した稀な症例を経験した。症例は62歳,男子。初診時視力は右0.04,左0.6。両眼底に網膜色素線条があり,梨地眼底を呈していた。右眼の黄斑部には網膜下新生血管膜に起因する線維増殖膜と,出血,浮腫があった。初診から約1年半後に,右眼に硝子体出血が生じ,眼底は透見不能となった。硝子体切除術を行ったところ,黄色化した網膜下出血と網膜色素上皮裂孔があった。術後視力は手動弁であった。この硝子体出血は,網膜下あるいは網膜色素上皮下の出血から進展したものであると判断した。

眼科の控室

ご返事

著者:

ページ範囲:P.1332 - P.1332

 外の眼科医から紹介されてきた患者さんについては,「ご返事」を書くのが作法です。
 普通は,用意してある「ご返事用紙」に記入し,患者さんに持参させる形をとりますが,まず,「なにを・どのように書くか」が問題になります。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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