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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科49巻7号

1995年07月発行

文献概要

臨床報告 カラー臨床報告

白血病治療中の小児に発症したサイトメガロウイルス網膜炎

著者: 白紙靖之1 有地美和1 岸本直子1 上原雅美1 岩見均2

所属機関: 1松下記念病院眼科 2松下記念病院小児科

ページ範囲:P.1297 - P.1301

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 5歳男児に発症したサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎を経験した。患児は1991年に急性リンパ性白血病と診断され,化学療法により完全寛解し,その後維持療法を受けていた。1992年7月末,不明熱で入院,9月末には尿,咽頭ぬぐい液からCMVが分離され,血液検査でCMV-lgM陽性,CMV-DNAが検出され,CMV感染症と診断された。1992年10月には左眼網膜鼻側周辺部に微細顆粒状滲出斑をみとめた。1993年1月には,出血,滲出斑,網膜血管炎,網膜浮腫を伴い典型的な病像を示した。Ganciclovirの投与をおこなったが,炎症は再燃と緩解を繰り返し,1993年6月には,右眼黄斑部にも滲出斑が出現し,視力は0.3に低下した.この時点で小児科医の判断により化学療法を中止,その後網膜炎はいったん完全に沈静化した。化学療法中止9か月後,白血病が再発,化学療法を再開し,現在も経過観察しているが,現在のところ網膜炎の再燃はない。これらの経過中,血中natural killer細胞の活性値の推移と網膜炎の推移は逆の相関関係を示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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