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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科5巻2号

1951年02月発行

文献概要

普通講演

(26)後退視(Porropsie)と前進視(Presionopsie)

著者: 小口武久1

所属機関: 1桐生厚生病院

ページ範囲:P.121 - P.122

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 注視物が見る見る遠ざかり,其の大きさが變らないか又は小さく見えるものをHeilbronner (1904)がPorropsieと呼んでから可成り多くの類例が見られる。有本氏(1937)は注視物が遠ざかるばかりでなく,却つて大きく見えるという症例を經驗して之をPorropsieに加え,Porropsieを後退視と呼び視大の變化の模樣に依つて之を更に後退小視,後退不變視,後退大視に分類した。私は最近後退視とは反對に固視している物體が見る見る眼前に近附いて來ると訴える症例に接し,之を後退視に均し前進視(Presionopsie)と呼んで見る事にした。以下後退視と併せて私の經驗した症例の概略を記述しよう。
 第1例:前進視,石井某,41歳の女子,後退小視を訴える1子がある他,家族歴には特記すべき事が無い。約10年前産後に注視對象物が急に眼前に近附いて來る樣に見え,眼前0.5m位で停止し遠近の判斷がつかず像は平面に見える,大きさは變化が無く色も變らない。發作の持續時間は長い時で5分,短い時は1分位で,輕い頭痛を伴うが惡心,嘔吐等は無い。發作は最初の頃は1週數同,1日1-2回,心身の疲勢した時に多かつたが,時を經るに從つて段々回數は減り,現在では2月に1回起るか起らないかで大した苦痛は無くなつたという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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