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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科5巻4号

1951年04月発行

文献概要

實際眼科の盲點

投藥用點眼瓶と藥劑の變質を防ぐ法

著者: 中泉行正

所属機関:

ページ範囲:P.262 - P.262

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 眼科開業醫は通常患者の家庭用として投藥する點眼藥は硫亞水を筆頭として數多くあるがいずれも防腐力もあまりない。硼酸を入れても大した事もない。これを只今一般に使われている硝子管を加工して上下にゴムをはめた點眼瓶に入れて患者に渡すと夏期では1週間乃至10日位たつと溷濁が出て來る場合が多い戰爭以前はあまりそんな心配はなかつたので考えて見ると戰爭以前は皆砲彈形木管入のピペット附の點眼瓶を使用していた。これから考えて見るとこの溷濁の生ずる本態はゴムからではないかと考えられる。けれども各種の有名の賣藥の點眼水も同樣の上下にゴムをはめた瓶に入つているのが多數にある。そしてそれを小賣の藥店の店頭で買つて見ると溷濁のないのが多いのである。これはどうした事かと考えた。眼科醫は消毒が惡い爲か大量に工業的につくると消毒される爲かとも考えた。けれどもこれは大問題と種々研究して見た。其結果は次の通りである。眼科醫は點眼瓶を購入して一寸水洗してすぐ使うからである。瓶は水洗でもよろしいがゴムは一夜充分に沸縢させて煮るとよろしい。かくしたゴムを使用すると點眼水の溷濁を防ぐ事が出來るものらしい。それから懇意の藥劑師を通じて有名點眼水の賣藥製造元の其使用人についておくつてもらつたら矢張り消毒と稱して1畫夜煮るとの事であつた。充分にゴムを煮て使用する事は大切な事である。これは眼科醫の信用の問題にもつながつて來る事である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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