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臨床報告
文献概要
内科的にバセドウ病と診断された35例の患者に対し,CTによる外眼筋の冠状断面撮影を行い,外眼筋肥厚について検討した。Reid base lineに対し90±10°に設定した冠状断面像で,眼窩先端部から眼窩前方までの4つのスライス面における上直筋,内直筋,下直筋の厚さを計測した。バセドウ病患者におけるこの3筋の平均肥厚度は,上直筋で3.2±1.0mm (平均±SD),内直筋で3.4±0.8mm,下直筋で4.1±1.3mmであった。いずれの場合も,正常者より肥厚していたが,下直筋における肥厚が顕著であった。また,外眼筋肥厚は眼窩前方より後方にて著明に認められ,上転障害と眼窩後方の下直筋肥厚との間に相関を認めた。眼窩先端部より眼窩前方までの筋肥厚を計測できる冠状断面撮影は,甲状腺性眼症の臨床的評価において簡便かつ有用な検査であると考えられた。
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