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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科50巻10号

1996年10月発行

雑誌目次

連載 今月の話題

コンタクトレンズ装用者の巨大乳頭性結膜炎にみられる瞼結膜乳頭所見

著者: 﨑元卓

ページ範囲:P.1647 - P.1649

はじめに
 近年,コンタクトレンズ(contact Iens:CL)の種類や材質,クリーニングや消毒法が新しくなるにしたがい,発生するCL眼障害はますます多彩となり,その数も著しく増えている。この20年を振り返ってみると,PMMA (polymethyl metha—crylate)ハードコンタクトレンズ(hard CL:HCL)の時代には眼障害は角膜のびらんあるいは浮腫が主体であった。次いでHEMA (hydroxyethyl methacrylate)を素材とするソフトコンタクトレンズ(soft CL:SCL)が出現して角膜潰瘍の危険性が問題となったが,これらの発生率はさほど多いものでなかった。しかし,その後開発された連続装用CL,高酸素透過性CLの普及は重篤あるいは中程度の角結膜障害を著しく増加させている。すなわち,角膜実質への細胞浸潤の多発と瞼結膜への巨大乳頭性結膜炎(giant papillaryconjunctivitis:GPC)の急増である。それはとりもなおさず装用後短期にしてみられるCL材質の劣化が原因であり,特に最近のCL装用者にみられるGPCはあまりにも頻度が高い。これは明らかにCL材質の酸素透過性の追求のなかで起きた“DK値戦争”に起因するものであろう。「酸素を通すCL,目にとって良いCL」などの表現は「1年前後までは」と期限付きで用いられるべきで,SCL同様にHCLの汚れ,劣化も予想外に早くきている。

眼科図譜・356

虹彩原発の悪性黒色腫

著者: 山口由美子 ,   岸章治

ページ範囲:P.1652 - P.1653

緒言
 ぶどう膜の悪性黒色腫は,本邦では400万人に1人の発症率で,これはデンマークでの頻度の1/28に相当する1)。虹彩原発の悪性黒色腫は,ぶどう膜全体の5〜8%である1)。本邦での虹彩悪性黒色腫の総数は1972〜76年の5年間で6例であったとされ,これは1億人に約1例ということになる1)。本症は通常,虹彩の母斑から発生するが,悪性か否かの判断が難しい。近年,開発された超音波生体顕微鏡(ultrasound biomicro—scope:UBM)は,毛様体を含む前眼部を50μmの解像力で描出できる。UBMによる腫瘍の浸潤パターンから悪性黒色腫と診断し,眼球摘出を行った例を報告する。

眼の組織・病理アトラス・120

脂漏性角化症

著者: 猪俣孟

ページ範囲:P.1656 - P.1657

 脂漏性角化症seborrheic keratosisは高齢者の顔面や眼瞼皮膚に生じる上皮性腫瘍状増殖である。鮮明な境界をもつ限局性で半球状に隆起した疣状の褐色腫瘤で(図1),基底細胞乳頭腫basal cellpapillomaあるいは老人性疣贅senile verrucaとも呼ばれる。病巣の表面は滑らかなこともあるが,多くは疣贅状に角化し,軟らかくてもろい。
 組織学的には,基底細胞様細胞が乳頭腫状に増殖し,扁平上皮(有棘)細胞の増生と角化を伴って,仮性角質嚢腫pseudohorn cystsを含んでいる(図2)。脂漏性角化症の組織形態は,角化型,表皮肥厚型,腺様型の3種類に分けられるが,同一腫瘤内に3種類の形態が混在することが多い。共通してみられる特徴は,角化,表皮肥厚および乳頭腫症である。

眼科手術のテクニック・94

涙小管閉塞の分類と術式選択

著者: 矢部比呂夫

ページ範囲:P.1716 - P.1717

涙小管閉塞を程度分類する意義
 本稿で扱う陳旧性の涙小管閉塞をきたす原因は外傷が最も多く,次いで炎症性,突発性,腫瘍,先天異常などがあり,その閉塞範囲も症例により大きく異なる。涙点閉塞や涙小管閉塞の範囲が狭い場合は前号で述べた涙点形成術や健常な涙小管を利用する涙小管再建術を行うが,広範な涙小管閉塞の場合は涙液が貯留する結膜嚢から新たな涙道を造設する結膜涙嚢鼻腔吻合術を行う。したがって涙小管閉塞の症例に対しては慎重に閉塞の程度を検討し,これに従って術式を選択する。

新しい抗菌薬の上手な使い方・6

5.ペニシリン系薬

著者: 大石正夫

ページ範囲:P.1718 - P.1718

1)レナンピシリン
 lenampicillin hydrochloride (LAPC),商品名:バラシリン,タカシリン
 眼科適応:涙嚢炎,角膜潰瘍

今月の表紙

汎網膜光凝固実施後の糖尿病網膜症

著者: 清水弘一

ページ範囲:P.1651 - P.1651

 表紙に掲げたのは,41歳男子の糖尿病網膜症に対して汎網膜光凝固を行って2か月後の赤外螢光造影所見。色素レーザー(590nm)を使い,811発の凝固を加えてある。先月号と同じ症例である。
 ICGを使った螢光造影では,波長が赤外領域にあるために,網膜よりも脈絡膜血管が主として造影される。

臨床報告

全脈絡膜萎縮の1家系

著者: 徳島忠弘 ,   堀口正之

ページ範囲:P.1665 - P.1668

 全脈絡膜萎縮の1家系を報告した。症例は25歳男性であり,右眼の視野異常を主訴に来院した。矯正視力は右0.7,左1.2であり,視野は両眼とも輪状暗点を示し,フラッシュ網膜電図は消失型を示し,重度の網膜障害が示唆された。眼底所見は全脈絡膜萎縮に特徴的なものであった。すなわち,脈絡膜の萎縮は視神経乳頭から周辺部にかけてかなりの拡がりをみせたが,黄斑部では島状に残されていた。症例の母親(49歳)は眼底所見にて両眼とも後極部に脱色素斑があり,周辺部にかけて色素沈着がある以外は異常所見がなかった。これらの臨床所見から,本症例は全脈絡膜萎縮であり,本症例の母親はその保因者であると推測された。

眼内レンズ挿入術後に発症したPropionibacterium acnesによる遅発性眼内炎の1例

著者: 岩瀬剛 ,   柳田隆 ,   山下陽子 ,   寺井裕子 ,   藤井茂 ,   望月清文 ,   斎藤友護 ,   大西克尚

ページ範囲:P.1669 - P.1674

 眼内レンズ(IOL)挿入術後に発症したPropionibacterium acnesによる遅発性眼内炎の1例を報告した。症例は82歳の男性で超音波水晶体乳化吸引術およびIOL挿入術を施行し,術後経過は良好であった。術3か月後に右眼痛を自覚し,軽度の虹彩毛様体炎がみられたため,保存的に加療したが,前房内炎症は寛解と増悪を繰り返した。術8か月後に前房内炎症は増強し,水晶体嚢内には白色塊がみられた。このため遅発性眼内炎を疑い,IOLおよび水晶体嚢を摘出し硝子体切除術を施行,さらに,別のIOLを毛様溝に縫着した。手術時に摘出したIOLと水晶体嚢の細菌培養および組織学的検索によりPropionibacterium acnesが同定された。

サルコイドーシスの兄妹例

著者: 幸野敬子 ,   北村由美 ,   佐々木あかね ,   高橋義徳 ,   小暮美津子

ページ範囲:P.1677 - P.1681

 両眼に全ぶどう膜炎のある24歳男子を眼サルコイドーシスと診断した。肺門リンパ節腫大(BHL)を伴っていた。5年後に24歳の妹が両眼の霧視で受診した。前部ぶどう膜炎と網膜血管炎などがあり,眼サルコイドーシスと診断された。BHLを伴っていた両名とも喫煙者であり,東京郊外に22年間同居していた。HLA抗原の検索で,両名ともA2, B38, Cw7, DR12, DR52, DQ7を共有していた。

眼球周囲麻酔でのエピネフリン添加の効果

著者: 佐藤健一 ,   鳥井希恵子

ページ範囲:P.1683 - P.1686

 眼球周囲麻酔に用いる2%リドカインにおける,8万倍エピネフリン含有の有用性について,前向き,自己対照,二重マスク化研究を行った。両眼の白内障手術が行われた8名を対象として,片眼にエピネフリン含有リドカインを,他眼に対照としてリドカイン単独を用いて眼球周囲麻酔を行った。いずれの方法でも眼球周囲麻酔は白内障手術を安全に行うための十分な効果を有したが,リドカイン単独に比較してエピネフリン含有リドカインは,疼痛抑制,眼球運動抑制,瞬目抑制などの麻酔効果の増強や,その持続時間の延長といった明確な差を有しないように思われた。また,リドカイン単独に比較してエピネフリン含有リドカインは,有意に収縮期血圧を上昇させた。白内障手術においては,リドカインへのエピネフリン添加は必ずしも有用でないと思われた。

成人発症Still病に虹彩毛様体炎,乳頭浮腫,網膜血管炎が合併した1例

著者: 南場研一 ,   津田久仁子 ,   大西勝憲 ,   安田泉 ,   牧口祐介

ページ範囲:P.1687 - P.1690

 19歳の男子が弛張熱,関節痛,リンパ節腫脹を契機として成人発症Still病と診断された。入院加療中,両眼の軽度の充血で眼科を受診した。両眼に虹彩炎があり,右眼に視神経乳頭浮腫があった。螢光眼底造影で視神経乳頭と右眼の網膜血管の過螢光があった。ステロイド薬と少量のメトトレキサートの全身投与で,全身症状と眼症状は軽快した。

病態の異なる眼虚血症候群の2例

著者: 高須逸平 ,   松尾俊彦 ,   松尾信彦

ページ範囲:P.1693 - P.1697

 眼虚血症候群の2例を経験した。症例1は65歳男性で左眼の突然の視力低下を覚え受診したところ,左眼網膜周辺部の無血管野および新生血管緑内障を認めた。頸動脈造影の結果,内頸動脈の90%にわたる狭窄があり,種々の治療にもかかわらず失明した。症例2は71歳女性で左眼霧視を主訴に受診し,静脈うっ滞網膜症を認めた。眼動脈起始部付近の狭窄と考えられたが,視力は0.3で以後の病態に変化はなかった。眼虚血症状をみた時は全身検査を含めて適切な検査を行い,病態を正確に判断し,新生血管緑内障といった重篤な合併症を生じないように早期治療の必要がある。

幼児期に広汎な網膜分離を起こした先天網膜分離症の1例

著者: 山口尚美 ,   浅川学 ,   新保里枝 ,   仁科幸子 ,   東範行 ,   出田秀尚

ページ範囲:P.1699 - P.1702

 眼位異常を契機として,生後13か月の男児の両眼に硝子体出血が発見された。生後22か月に当科を受診し,両眼の硝子体出血に対する全身麻酔下での検査時に,車軸状黄斑分離,周辺の網膜分離,網膜内層の円孔,乳頭から黄斑を越える網膜ひだの形成がみられた。先天網膜分離症は,先天網膜ひだを形成する原因疾患の一つとして念頭におくべきであり,網膜ひだを伴う裂孔原性網膜剥離の検索で留意されるべきである。

MRIによる乳児内斜視頭蓋内病変の検討

著者: 郡良文 ,   長谷部聡 ,   大月洋 ,   松尾信彦 ,   清哲朗

ページ範囲:P.1703 - P.1706

 乳児内斜視21例に対するMRIを用いた今回の検討で,軽度の所見を3例,14%に認めたが,正常範囲と思われた。今回認めた所見と斜視発症との因果関係は不明であり,また,3例とも周産期に問題のあった症例であった。
 MRIは軟部組織の解析にすぐれた検査手段である。今後,器械の進歩による解像力の向上と症例の積み重ねにより,斜視の原因解明の有力な手段となりうると思われた。

インドシアニングリーン赤外螢光眼底造影を用いた球後の静脈の観察

著者: 大野京子 ,   森嶋直人 ,   山下悟 ,   伊藤睦子 ,   所敬 ,   中川恒明

ページ範囲:P.1710 - P.1715

 インドシアニングリーン赤外螢光眼底造影(IA)を用いて17例20眼の強度近視眼において,球後の静脈と思われる血管を観察することができた。これらの静脈はいずれも黄斑部付近から黄斑部の耳側で眼球のすぐ後方を上下に直線状に走行しており,球後の動脈に見られるような蛇行はなかった。さらにヘリカルCTを用いたCT angiographyにより,今回観察された静脈は,下眼静脈と上眼静脈の主要な側副路の1つであるlateral collateral veinであることが確認された。IAにより,強度近視眼においては,菲薄化した強膜を通して球後の静脈を観察できる可能性があることが示された。また,強度近視眼ではIA所見の読影に際し,球後の静脈の陰影を脈絡膜の過螢光と見誤らないよう注意する必要があると考えられた。

超音波生体顕微鏡により発見された外傷性毛様体解離の1例

著者: 大黒浩 ,   丸山幾代 ,   清水美穂 ,   中川喬

ページ範囲:P.1723 - P.1725

 34歳の男子が左眼の低圧黄斑症で受診した。3か月前に交通事故で顔面骨折などを受傷していた。隅角はほぼ正常に近い所見で隅角解離や毛様体解離はなかった。しかし,超音波生体顕微鏡(UBM)による検査で,毛様体が全周にわたって剥離し,脈絡膜上腔が拡大していた。外傷性の低眼圧に対してはUBM検査を積極的に行うべきである。

シヌソトミー併用トラベクロトミーとトラベクロトミー単独との長期成績の比較

著者: 溝口尚則 ,   黒田真一郎 ,   寺内博夫 ,   松村美代 ,   永田誠

ページ範囲:P.1727 - P.1733

 シヌソトミー併用トラベクロトミー(LOT+SIN)とトラベクロトミー単独(LOT)の術後眼圧経過について検討した。対象は永田眼科にて手術を行った原発開放隅角緑内障(POAG)と偽落屑症候群を伴う開放隅角緑内障(PE)である。初回手術例で術後3年以上経過観察ができたLOT+SIN群35眼(POAG 29眼,PE 6眼),LOT群39眼(POAG 35眼,PE 4眼)であった。術前眼圧は,LOT+SIN群で23.4±5.6mmHg, LOT群で23.1±3.4mmHgであり,両群有意差はなかった(p=078)。術後すべての時点で両群の術後眼圧は術前眼圧と比較し有意に低下していた。また,術後3.5年まで各時点で,LOT+SIN群の術後眼圧はLOT群の眼圧より有意に低下していた。
 Kaplan-Meier生命表を用いた検討では,術後14mmHg以下へのコントロール率ではLOT+SIN群が有意に良好であった(p<0.0001)。最終診察時眼圧の14mmHg以下へのコントロール率では,LOT+SIN群が57%,LOT群が8%であり,LOT+SIN群で有意に良好であった(p=0.0001)。術前眼圧と最終観察時の眼圧の差である眼圧下降度では,LOT+SIN群で8.0±4.8mmHg, LOT群で4.8±3.3mmHgであり,LOT+SIN群の眼圧下降度が有意に大きかった(p=0.001)。
 シヌソトミー併用トラベクロトミーはトラベクロトミー単独より術後眼圧は低く,術後眼圧を14mmHg以下へコントロールすることでもトラベクロトミー単独と比較すると有効である。

眼窩涙腺腺様嚢胞癌3例の検討

著者: 鈴木健司 ,   小川豊

ページ範囲:P.1735 - P.1738

 涙腺腺様嚢胞癌の3例を外科的に治療した。初診時の年齢は,それぞれ29,46,53歳であった。2例は死の転帰をとった。次のような共通した所見があった。本症は他の良性腺腫と鑑別がしばしば困難である。その増殖は,周囲組織に浸潤していくことが多いが,その速度は比較的遅い。しかし,ひとたび手術侵襲などが加わると,旺盛な増殖が始まり,解剖学的な位置関係から,眼窩骨壁に浸潤しやすい。最終的には,血行性に頭蓋内,肺,骨に転移する。以上のような理由から,涙腺腺様嚢胞癌の診断が確定した時点で,眼窩内容除去術や眼窩骨切り術を含んだ拡大腫瘍切除術を選択するべきである。

白内障術後濾過胞の自己血液注射による治療

著者: 本田恭子

ページ範囲:P.1739 - P.1742

 慢性関節リウマチのため免疫抑制薬を内服している74歳女性の白内障に対して,計画的嚢外法により眼内レンズを挿入し,順調に経過していた。術後3週目に術眼を自身の手で擦り,強角膜切開創が一部開口した。保存的治療で順調に経過していたが,術後9か月目に強角膜切開部に濾過胞が生じた。濾過胞は拡大し,感染の危険が危惧された。濾過胞を縮小させる目的で濾過胞内に自己血液を0.6ml注射した。濾過胞は瘢痕化し,3か月後には消失した。本法は強角膜創の再縫合を行う前に試みられる価値があると考えられる。

ビデオ画像計測で求めた健常者149眼のヒルシュベルク眼位換算値

著者: 長谷部聡 ,   大月洋 ,   古瀬尚 ,   河野玲華 ,   田中剛 ,   岡田由美子

ページ範囲:P.1743 - P.1746

 ヒルシュベルク法による眼位測定の信頼性を検証する目的で,ビデオ画像計測により,健常者149眼のヒルシュベルク換算値を検討した。ヒルシュベルク換算値は正規分布を示し,平均値±標準偏差は12.3±1.2°/mm (21.8±2.1プリズムジオプター/mm),レンジは9.9〜15.6°/mmであった。換算値は水平方向の角膜曲率半径との間に負の相関(r=-0.5)を示したが,等価球面屈折度数,年齢との相関は有意でなかった。得られたヒルシュベルク換算値は平均値としては理論値に一致するものの,換算値の個体差により,平均値を全症例に適用して眼位ずれを見積もると大きな系統誤差を招く可能性がある。

カラー臨床報告

側頭動脈炎による前部虚血性視神経症

著者: 平由起 ,   松尾俊彦 ,   松尾信彦

ページ範囲:P.1659 - P.1663

 左前頭部から側頭部にかけての頭痛および発熱を伴う側頭動脈炎によると思われた右眼前部虚血性視神経症を発症した49歳女性に対し,副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)の投与を早期から行った。右眼は視力低下と水平半盲を残したが,左眼の発症はステロイド投与により予防することができた。本邦において過去に報告された側頭動脈炎による前部虚血性視神経症10例を合わせて検討すると,片眼のみの視力障害でおさまっていた症例では,ステロイドが早期から投与されていた。高齢者で側頭動脈炎によると思われる前部虚血性視神経症をみた場合,重篤な視力障害の両眼発症を防ぐため,片眼発症後早期にステロイド投与を開始することが重要である。

眼科の控室

病気の「診断」

著者:

ページ範囲:P.1720 - P.1720

 大病院で眼科を2年もしていると,ほとんどの病気が診断できるようになります。
 しかし,ここで注意していただきたいのが,「診断」の意味です。ふつうは病名がつけばそれで終りと考えがちなのですが,これで満足してはいけないのです。

文庫の窓から

揆翳鍼訣

著者: 中泉行信 ,   中泉行史 ,   斎藤仁男

ページ範囲:P.1748 - P.1749

 文化12年(1815)に杉田立卿の「和蘭眼科新書」が著わされるにおよび,漢蘭混合の眼科が漸く行われるようになり,文政6年(1823)にシーボルトが来日してからは西洋式実地の眼科が高良斎(1799〜1846),土生玄碩(1762〜1848),馬嶋円如(1802〜1855)らにより次第に本格的に行われるようになった。こうした実地医家達による著書も幕末にかけて著わされるようになり,その主なものに馬嶋円如の「眼科集要折衷大全」,高良斎の「西説眼科必読」,土生玄碩の「獺祭録」,本庄普一の「眼科錦嚢」(正続)などを挙げることができる。
 こうした時代,弘化3年(1846),鈴木道順(1795〜1869)により著わされたのが「揆翳鍼訣」である。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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