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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻10号

1996年10月発行

臨床報告

シヌソトミー併用トラベクロトミーとトラベクロトミー単独との長期成績の比較

著者: 溝口尚則1 黒田真一郎1 寺内博夫1 松村美代1 永田誠1

所属機関: 1永田眼科

ページ範囲:P.1727 - P.1733

文献概要

 シヌソトミー併用トラベクロトミー(LOT+SIN)とトラベクロトミー単独(LOT)の術後眼圧経過について検討した。対象は永田眼科にて手術を行った原発開放隅角緑内障(POAG)と偽落屑症候群を伴う開放隅角緑内障(PE)である。初回手術例で術後3年以上経過観察ができたLOT+SIN群35眼(POAG 29眼,PE 6眼),LOT群39眼(POAG 35眼,PE 4眼)であった。術前眼圧は,LOT+SIN群で23.4±5.6mmHg, LOT群で23.1±3.4mmHgであり,両群有意差はなかった(p=078)。術後すべての時点で両群の術後眼圧は術前眼圧と比較し有意に低下していた。また,術後3.5年まで各時点で,LOT+SIN群の術後眼圧はLOT群の眼圧より有意に低下していた。
 Kaplan-Meier生命表を用いた検討では,術後14mmHg以下へのコントロール率ではLOT+SIN群が有意に良好であった(p<0.0001)。最終診察時眼圧の14mmHg以下へのコントロール率では,LOT+SIN群が57%,LOT群が8%であり,LOT+SIN群で有意に良好であった(p=0.0001)。術前眼圧と最終観察時の眼圧の差である眼圧下降度では,LOT+SIN群で8.0±4.8mmHg, LOT群で4.8±3.3mmHgであり,LOT+SIN群の眼圧下降度が有意に大きかった(p=0.001)。
 シヌソトミー併用トラベクロトミーはトラベクロトミー単独より術後眼圧は低く,術後眼圧を14mmHg以下へコントロールすることでもトラベクロトミー単独と比較すると有効である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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