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臨床報告
眼窩涙腺腺様嚢胞癌3例の検討
著者: 鈴木健司1 小川豊1
所属機関: 1関西医科大学形成外科学教室
ページ範囲:P.1735 - P.1738
文献購入ページに移動 涙腺腺様嚢胞癌の3例を外科的に治療した。初診時の年齢は,それぞれ29,46,53歳であった。2例は死の転帰をとった。次のような共通した所見があった。本症は他の良性腺腫と鑑別がしばしば困難である。その増殖は,周囲組織に浸潤していくことが多いが,その速度は比較的遅い。しかし,ひとたび手術侵襲などが加わると,旺盛な増殖が始まり,解剖学的な位置関係から,眼窩骨壁に浸潤しやすい。最終的には,血行性に頭蓋内,肺,骨に転移する。以上のような理由から,涙腺腺様嚢胞癌の診断が確定した時点で,眼窩内容除去術や眼窩骨切り術を含んだ拡大腫瘍切除術を選択するべきである。
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