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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 緑内障Today Ⅰ 緑内障の本態

緑内障性視神経障害—循環障害説の立場から

著者: 恩田鋭治1 山本哲也1

所属機関: 1岐阜大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.17 - P.20

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はじめに
 原発開放隅角緑内障(POAG)をはじめとするいわゆるhigh-tension glaucomaの大多数においては,その緑内障性視神経障害の発症に異常に上昇した眼圧の関与していることは異論のないものと思われる。しかしながら,high-tension glau—comaにおいても,薬物あるいは手術療法により正常域に眼圧が下降したにもかかわらず,視神経障害の進行を停止させることのできない症例はしばしば経験される。また,正常眼圧緑内障(NTG)といわれる疾患群の存在をも考慮すれば,すべての緑内障性視神経障害の発生メカニズムを眼圧による機械的障害のみで説明するにはおのずと限界があると思われる。
 緑内障性視神経障害の病因論として,視神経乳頭部の循環障害説(vascular theory)は機械的圧迫説とならんで古くから提唱されている。とりわけ,近年,実験的および臨床的に,NTGのみでなく,一部のhigh-tension glaucomaにおいても視神経障害の発症に循環障害の関与を示唆する数多くの報告が積み重ねられている。しかしながら,循環障害が緑内障性視神経障害の病因としていかに関与しているのか,また循環障害の現れと考える研究者の多い乳頭出血の出現メカニズム,緑内障眼の視神経乳頭に観察される上下方向への陥凹の拡大,あるいはnotch形成などの乳頭の局所的変化などの循環障害説による明確な説明など,未解決の課題が多数残されているのも事実である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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