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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻11号

1996年10月発行

文献概要

トピックス

超音波カラードプラ法による眼循環の測定

著者: 宇治幸隆1

所属機関: 1三重大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.21 - P.23

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 緑内障の病因については眼圧とそれ以外のリスクファクターが考えられ,特に正常眼圧緑内障では後者が主たる原因と考えられている。わが国でも正常眼圧緑内障の有病率が原発開放隅角緑内障の3から4倍も高いことがわかり,リスクファクターの解明とそれらへの対処が必要となってきた。そのリスクファクターには高血圧や糖尿病などの血管の病気,血管の攣縮,低血圧,高齢,人種,家族歴,そして視神経乳頭局所の問題(篩状板の脆弱性や短後毛様動脈分布の分水界など)などがあげられ,それらのいくつかによって視神経乳頭や網膜の虚血がもたらされ,視神経障害が招来されるのではないかと推測されている。したがって緑内障の管理には眼循環の維持,乳頭微小循環の構造的,生理的保全に注意をはらうことの重要性が強調されるようになってきた。
 しかし正確に眼循環,乳頭微小循環を計測する研究はまだ発展の途中といわざるを得ない。それは人の緑内障のような適当なモデルがないということ,再現性のある適切な非侵襲的方法がないということによる。しかしようやく最近,眼底血管の血流速度を計測するレーザードプラー法,レーザースペックル法,SLOによる眼底血管の直接計測などが開発され,かなりの精度で血流速度を測定することができるようになってきた。一方,超音波の医療への応用が開始されて久しいが,特にこの数年の超音波画像診断装置のめざましい技術革新によって,カラードプラ法を用いて眼球に流入する血管の眼窩内での血流動態を測定することができるようになり,緑内障研究に一石を投じつつあると思われるので,この方法について紹介したいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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