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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻11号

1996年10月発行

文献概要

特集 緑内障Today Ⅰ 緑内障の本態

乳頭の解剖と組織

著者: 福地健郎1 沢口昭一1 阿部春樹1

所属機関: 1新潟大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.29 - P.33

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視神経乳頭部の基本構造1,2)
 視神経乳頭部は,黄斑部の鼻側約3mmやや下方の位置にあり,垂直方向にわずかに楕円形を呈した部位として認められる。そのサイズに関して直径の平均は1.5〜1.9mm,乳頭面積は1.67〜2.94mm2と報告されている。しかし視神経乳頭部はサイズや形状に関して著しく個体差が大きいことが知られており,乳頭面積で0.90〜6.28mm2もの差が認められたとの報告がある。
 組織学的にみた場合,視神経乳頭部は硝子体側から4層に分けられる(図1)。つまり(1)表層神経線維層(surface nerve fiber layer),(2)前篩状板部(prelaminar layer),(3)篩状板部(laminacribrosa),(4)後節状板部(postlaminar layer)である。表層神経線維層は網膜神経線維層の延長にあたる。網膜神経節細胞を起源とする軸索=神経線維は,網膜神経線維層を走行し,屈曲,角度を変えながら視神経乳頭内に進入する。視神経線維の数は一般に73万〜170万本,平均120万本といわれている。前篩状板部でこれらの神経線維は,アストロサイトによって構成されるグリア柱(glial column)によって約300〜400の視神経線維束に分けられる。さらに後方に進行するとグリア細胞のみによって作られていたグリア柱に,突然,コラゲン線維,弾性線維による結合組織成分が出現し,この部が篩状板部にあたる。この部を灌流する血管はグリア柱,篩状板内に限局し,血管と神経線維との間には必ずアストロサイトが介在している。さらに後方に向かうと神経線維束の隔壁は主に結合組織による軟膜中隔へと移行し,後篩状板部となる。ヒトや霊長類では網膜神経節細胞の軸索は篩状板の後縁で無髄神経線維から,有髄神経線維となる。後篩状板部の視神経は,眼球外のそれより後方のいわゆる球後視神経と組織学的に同一である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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