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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻11号

1996年10月発行

特集 緑内障Today

Ⅱ 確定診断を得るために

誘発試験はどこまで役立つか

著者: 吉川啓司1

所属機関: 1吉川眼科クリニック

ページ範囲:P.49 - P.52

文献概要

はじめに
 緑内障は典型的には眼圧動態の異常が視神経障害をもたらす疾患である。しかし,眼圧上昇は痛みなどの自覚症状を伴うことが少ない。また,糖尿病でのHbA1cのような,過去に遡った眼圧値を知るマーカーも用意されていない。一方,わが国では正常眼圧緑内障(NTG)の頻度が高いことが明らかにされつつある。NTGの病態が眼圧異常か,あるいは視神経の脆弱性かの判断は治療と密接に関連する。また,緑内障治療が早期発見に頼らざるを得ない現状からみれば,眼圧上昇を予測し得れば臨床上で重宝する。
 これらの点を考慮した「眼圧」の把握に眼圧誘発試験(誘発試験)は用いられてきた。しかし,誘発試験によって得られるのは,眼圧という「元来,捉え難い病態の表現形」にさらに人為的な操作を加えて得られる「鬼っこデータ」とも,「摩訶不思議な眼圧という数値」から,そのエッセンスを抽出した結果とも考えられる。そこで,今回,「誘発試験がどこまで役立つか?」を述べるにあたり,その評価法を含めて検討した。誘発試験に限らず医学における臨床試験がどこまで役に立つか?はその評価を基盤とするからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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