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コラム
緑内障の視野障害
著者: 溝上國義1
所属機関: 1溝上眼科
ページ範囲:P.70 - P.71
文献購入ページに移動 私が緑内障視野研究に触れ始めた昭和46年当時は,ゴールドマン動的,チュービンガー静的,autoplot tangent screen等,今でいうマニュアル視野計の最盛期であった。根気の良さそうな初期緑内障患者をみつけては暗室に籠もって,静的,動的,あらゆる測定法でBjerrum暗点の形状,広がりを確認した。暗点はマリオット盲点とは分離して存在し,マ暗点側に尾を引いたような広がりを持つことが,1966年Aulhorn1)の報告どうりであること等を自身で確認し興奮したものである。最近は自動視野計全盛期ではあるが,緑内障視野研究を志す若い方は,まずはマニュアルでの緑内障暗点の検出,測定を経験して頂けば,自動では分からない緑内障暗点の特徴,おもしろさが理解でき,緑内障視野に魅せられることは請け合いである。その後2年に1回開催される国際緑内障学会に,第2回(Tubingen 1976)から参加するようになった(本年は第12回Würzburg)。近年の視野測定自動化はこの学会が中心となって推進されて来たと言っても過言ではない。東京で開催された第3回学会(1978)から視野自動化に関するセッションが設けられている。視野測定における従来の芸術性を排除し,標準化された測定法での自動化は,測定結果を,時を越え,国境を越えて統計比較することを可能とした。この自動化は,多くの患者さんを相手にして,どこに出現するかわからないBjerrum暗点を,単純作業の繰り返しで検出し追跡する初期緑内障視野研究のために開発されたともいえる。
緑内障視野研究が,その後飛躍的な進歩を遂げたことは周知の事実である。緑内障視野研究は,今やコンピュータを前にして行う統計学となり,本来は暗室に籠もってhuman relationshipを維持しながら行う検査であることが忘れ去られようとしている。
緑内障視野研究が,その後飛躍的な進歩を遂げたことは周知の事実である。緑内障視野研究は,今やコンピュータを前にして行う統計学となり,本来は暗室に籠もってhuman relationshipを維持しながら行う検査であることが忘れ去られようとしている。
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