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コラム
緑内障解析とUBM
著者: 太根節直1
所属機関: 1聖マリアンナ医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.105 - P.105
文献購入ページに移動上記の聖マリアンナ医大式装置による計測法は,無侵襲で人生体眼を計測出来る利点はあったが,15MHzの探触子では分解能の点でマクロの組織計測法としては限界があった。ところが,数年前よりカナダで開発されつつあった50MHz探触子を用いる高周波超音波診断装置が実用化されるに及び,これらの点が解決された。わが国でも,長年補聴器を手がけてこられたR社の努力で高周波装置が実用化され,筆者のアドバイスを受け入れて下さり,改良が加えられ,眼科用装置として完成された。早速前房隅角角度計測を行ったが,両装置ともに,生体眼の前房隅角角度の定量的計測のほか,緑内障前眼部構造の解析に有用である。さらに前眼部の腫瘍,外傷,角膜,結膜,ぶどう膜(前部),角膜の検索に,またIOLのループの固定位置の確認にも,また細隙灯生体顕微鏡でも不十分な角膜や虹彩の厚みの計測や裏側の状況の観察にも有利である。それにしてもultrasound biomicroscopy(超音波生体顕微鏡的検査法)とはカナダ学派によるうまい命名である。このUBM法により緑内障の,特にPACGや先天緑内障などの形態異常眼の解析がさらに進歩するものと思われる。
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