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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻11号

1996年10月発行

文献概要

コラム

緑内障手術について

著者: 新家真1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院眼科

ページ範囲:P.225 - P.225

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 緑内障手術はその薬物療法と並び,緑内障治療の一つの柱であることは,誰しも異論のないところである。ただし緑内障「手術」は,いわゆる白内障「手術」または網膜剥離「手術」とは必ずしも同列に考えられないものであろう。昨今の眼科手術器具,方法の進歩により白内障,網膜硝子体病変の手術的治療は長足の進歩を遂げた。緑内障も同様であり,緑内障も手術により治るものだという間違った幻想を研修医が持つことを恐れるからである。
 白内障,網膜剥離手術等は,例えば混濁した水晶体を除去,人工水晶体に置換する,または原因ともなっている網膜裂孔を何らかの手段により閉鎖するといったような,原因に対する直接的外科的アプローチであり,またそれが達成されればかなりの高確率で治療効果を期待できるのである。緑内障手術中で,同様なアプローチが可能な場合は,原発閉塞隅角緑内障に対する周辺虹彩切除術(もしレーザー処置も手術に含めるならばlaseriridotomy),およびgoniosynechialysis (GSL),原発先天緑内障および一部発達緑内障に対するgoniotomyまたはtrabeculotomy位であり,これらの手術件数は,全緑内障手術件数中のごく一部に過ぎない。他の多くの症例に適応されるtrabeculectomy等の濾過手術,色々な方法による毛様体破壊術は,いずれも眼の生理的状態を外科的に変更することにより,非生理的な状態で眼圧下降を計る術式である。しかもこれら術式による術後経過は,個々人の生体組織反応いかんに大きく依存しており,手術中または終了時の状態より数年後を予測することは多くの場合困難である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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