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コラム
緑内障の薬物療法の進歩
著者: 三嶋弘1
所属機関: 1広島大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.239 - P.240
文献購入ページに移動 緑内障患者の眼圧を下げるために用いられている点眼薬には,自律神経作動薬であるコリン作動性(副交感)神経薬であるピロカルピンなどと,アドレナリン作動性(交感)神経薬であるエピネフリンや,その構造式を変え眼内移行性を向上させたピバレフリン(DPE),数多くの交感神経β遮断薬と,近年本邦で世界に先駆けて発売されたプロスタグランジン関連薬がある。いずれの薬剤にもその作用機序からその使用については長所と短所がある。
100年以上にわたり最初に緑内障の治療薬として使用され,現在も有用である,ピロカルピンの眼圧下降作用は優れたものである。しかし,この薬剤には縮瞳作用や毛様筋作用があり,この副作用のために若年者には使用しにくい。これらの点を改善するために,従来の点眼薬の型でなく,除放剤の型にしたピロカルピンオキュサートが若年者には非常に有用であった。しかし,3年前から本邦では輸入されなくなり,現在は使用できない。就寝前に1日1回点入する軟膏製剤のパイロゲルも欧米では頻用されており,これも有用である。アドレナリン作動薬のエピネフリンやDPEは眼圧下降作用に著効を示す症例もあるが,眼局所刺激作用が多いために一般には使用しにくいようである。瞳孔作用がなく,1日2回の点眼で,長期に使用しても眼圧下降作用に減弱作用がないβ遮断薬は,緑内障治療点眼薬のなかで第一選択薬として使用されることが多い。しかし,これまでに言われていた心血管系の副作用に加え,近年,高齢者では喘息を含む呼吸器系の副作用が意外に多いようである。このため喘息発作を誘発することのより少ないβ1選択性のあるβ遮断薬ベタキサロールを,高齢者や呼吸器疾患患者に使用するのが望ましいと思われる。患者のコンプライアンス向上と,副作用軽減を目的として,1日2回の点眼回数を必要とするβ遮断薬点眼液の基剤を,懸濁液や熱応答製剤に変更して,1日1回点眼使用するβ遮断薬点眼液の開発も現在進行中である。
100年以上にわたり最初に緑内障の治療薬として使用され,現在も有用である,ピロカルピンの眼圧下降作用は優れたものである。しかし,この薬剤には縮瞳作用や毛様筋作用があり,この副作用のために若年者には使用しにくい。これらの点を改善するために,従来の点眼薬の型でなく,除放剤の型にしたピロカルピンオキュサートが若年者には非常に有用であった。しかし,3年前から本邦では輸入されなくなり,現在は使用できない。就寝前に1日1回点入する軟膏製剤のパイロゲルも欧米では頻用されており,これも有用である。アドレナリン作動薬のエピネフリンやDPEは眼圧下降作用に著効を示す症例もあるが,眼局所刺激作用が多いために一般には使用しにくいようである。瞳孔作用がなく,1日2回の点眼で,長期に使用しても眼圧下降作用に減弱作用がないβ遮断薬は,緑内障治療点眼薬のなかで第一選択薬として使用されることが多い。しかし,これまでに言われていた心血管系の副作用に加え,近年,高齢者では喘息を含む呼吸器系の副作用が意外に多いようである。このため喘息発作を誘発することのより少ないβ1選択性のあるβ遮断薬ベタキサロールを,高齢者や呼吸器疾患患者に使用するのが望ましいと思われる。患者のコンプライアンス向上と,副作用軽減を目的として,1日2回の点眼回数を必要とするβ遮断薬点眼液の基剤を,懸濁液や熱応答製剤に変更して,1日1回点眼使用するβ遮断薬点眼液の開発も現在進行中である。
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