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視神経疾患の治療法に関する臨床試験の重要性
著者: 柏井聡1
所属機関: 1京都大学大学院医学研究科視覚病態学
ページ範囲:P.1759 - P.1764
文献購入ページに移動 視神経疾患に関連した治療法の有効性について米国で行われていた臨床試験の結果が最近相次いで報告された。どんな治療法でもその有効性は,前向き無作為二重盲検比較臨床試験でのみ初めて正しく評価できるという貴重な証左となった。虚血性視神経症の手術療法については,その有効性を報告する論文が次々と提出されている中で,「くじ」によっては,治療は受けずに単に経過だけを診てもらう対照群となることに同意して定期的な診察に応じてくれた患者たちが,いかにこうした臨床試験では大切かを教えてくれた。結果は,「良くなると思って受けた手術でむしろ悪くなる」こともあることがわかった。また,副腎皮質ホルモンの内服は新たな視神経炎を惹起することがわかった。こうした貴重な臨床試験の経験は,臨床科学の新しい方向性を教えてくれている。しかし文化的社会的背景の全く異なる日本で,こうした検定ができるようになるには,医師を含め我々はもっと成熟しなければならない。
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