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連載 眼の組織・病理アトラス・121
定型網膜色素変性症
著者: 田原昭彦1 猪俣孟1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1766 - P.1767
文献購入ページに移動現在,確実な治療法はなく,網膜変性の進行を遅らせる目的で,血管拡張薬,視紅合成促進薬,ビタミンなどが使用される。過度の光は本症の進行を速める可能性があるので,強い光を避け,サングラスを常用する。
初期変化が網膜の血管アーケード付近に始まるように見えるのは,そこでは杵体細胞の密度が最も高いためである。秤体細胞の外節が変性し,ついで内節も変性する。さらに視細胞の核が存在する外穎粒層の配列が乱れ,核は徐々に減少して外穎粒層は菲薄化する。初期には網膜内層にほとんど変化は見られないが,外穎粒層が消失する頃になると,内穎粒層の配列が乱れてくる。神経節細胞層や神経線維層は比較的末期まで保存される(図2)。病状が進むと,錐体細胞も障害される。赤道部に始まった網膜変性は後極部,周辺部へと広がる。
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