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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻12号

1996年11月発行

臨床報告

強度近視眼での黄斑部渦静脈の特徴と後毛様静脈との関連

著者: 大野京子1 森嶋直人1 山下悟1 伊藤睦子1 所敬1 中川恒明2

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部眼科学教室 2東京医科歯科大学医学部放射線科学教室

ページ範囲:P.1787 - P.1793

文献概要

 強度近視眼では約1/4の症例に眼底後極部に脈絡膜血流の流出路があるという前報での観察をふまえ,これらの後極部流出路のうち,黄斑部渦静脈のインドシアニングリーン赤外螢光眼底造影(ICG造影)所見をもとに,黄斑部渦静脈の由来血管と強度近視における病的意義を検討した。1眼にヘリカルCTを用いたCT血管造影を施行して,黄斑部渦静脈の眼外走行について観察した。対象は,191名342眼の強度近視眼のうち,黄斑部渦静脈を有し,明瞭なICG造影早期所見が得られた17眼である。14眼(82%)で,黄斑部渦静脈が強膜を貫く部位に一致して,ICG造影の早期に短後毛様動脈が流入する所見が観察された。CT血管造影では,黄斑部渦静脈は球後で視神経周囲に流入していた。以上から,黄斑部渦静脈の多くは,強度近視眼での眼軸長の延長に伴い,赤道部の渦静脈に還流しにくくなった後極部の脈絡膜血流を集めて二次的に拡張した後毛様静脈であることが推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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