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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻13号

1996年12月発行

文献概要

臨床報告

眼窩静脈圧亢進時の脈絡膜循環の眼外流出路

著者: 須藤憲子1 村岡兼光1 高橋京一1 池田史子1 清水弘一1

所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1911 - P.1918

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 頸動脈海綿静脈洞瘻の3例3眼について,赤外螢光造影により,脈絡膜と上強膜の血流動態を観察した。全例で,拡張した前毛様体静脈を通じて,多量の血流が眼内から眼外に強膜を貫いて流出していた。脈絡膜造影では,脈絡膜静脈が優先血行路を形成しながら血管構築と血流動態を変化させていた。—部の渦静脈が消失し,その他の渦静脈では膨大部が消失していた。後極からの血流は渦静脈の部位を素通りして,より周辺の方向に向かっていた。これらの所見から,前毛様体静脈経由で流出する血流は,その大部分が脈絡膜からのそれであると判断された。
 コントロールとした正常眼6眼では,前毛様体動脈の血流量が豊富で,そのほとんどが強膜を貫いて眼内に流入していた。静脈は細く,眼内から眼外に流出する前毛様体静脈は観察されなかった。頸動脈海綿静脈洞瘻で好発する拡張した前毛様体静脈は,脈絡膜静脈の流出路として機能していることが結論される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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