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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科50巻2号

1996年02月発行

連載 眼の組織・病理アトラス・112

網膜色素線条と弾性線維性仮性黄色腫

著者: 猪俣孟1 千々岩妙子1

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.116 - P.117

文献概要

 網膜色素線条はブルッフ膜の断裂によって特徴的な線条が眼底にみられる疾患である。線条は通常赤褐色または黒褐色で,乳頭を囲む輪状の部分とそこから放射状に伸びる部分からなる。その走行があたかも血管のようにみえるので(図1),angioid streaksと名付けられた。わが国の眼科学では,これをその色調から網膜色素線条と呼んでいる。線条の両側には灰白色の帯を伴い,乳頭周囲では線条を取り囲むひとで様の外観を呈する。さらに,後極部眼底の特徴として,萎びたみかんの皮peau d'orange (わが国では,これを梨地眼底と呼ぶ)類似の色調や割れた卵の殻cracked egg shellの模様を示す(図1)。
 線条が黄斑部に及ぶと,視力障害や変視症などが生じる。ごく軽い外傷でも黄斑部に出血を起こすことがある。しかし,視力障害の主因は,網膜下血管新生,網膜色素上皮剥離および黄斑変性で,老人性円板状黄斑変性症と類似の病像を示す(図2)。螢光眼底造影検査を行うと,線条部は動脈期から著明な過螢光を示す。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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